〇タクシー送迎とは何とも楽でした
私は年中県内外へ講演などに出かけています。その交通手段は中国・四国・九州地方辺りだと自家用車で行く機会が多いのですが、さすがにそこから先は飛行機・バス・列車などを乗り継いでいます。講演の依頼がある度に「何で(交通手段)来られる予定ですか?」と尋ねられ、その度に「車」とか「新幹線」とか答えていますが、最近は便利になったもので、インターネットの路線で調べると、こちらの条件さえ入力すれば到着時間や旅費まで瞬時に計算してくれるのですから驚きです。
ところがこの度西条市からの老人福祉大の記念講演依頼は、自宅から会場まで往復タクシーという何とも有難い申し出がありました。私のような取るに足らない人間にタクシーまでつけるというものですから、一応「自分で行きます」と断わりましたが、たってのお勧めを甘んじて受けることにしました。
講演は10時30分からなのですが、逆算してか少し早めの8時に地元のタクシー会社の車がわが家に迎えに来ました。運転はタクシー会社の社長さん自らです。相手の指示通り伊予インターチェンジで高速道路に乗りました。運転手の社長さんと久しぶりに世間話に花を咲かせながら、小松インターで降りました。相手の指示は西条インターだったようですが、西条インターだと引き返さなければならないので、国道11号線を走り加茂川の橋を渡って、西条総合文化会館へ1時間余りで到着しました。講演までには1時間30分も間があり、通された講師控え室で本を読んだりして過ごしましたが、それでもまだ余裕があるので思い切って外へ出て、名水百選に選ばれている自噴水公園を散歩しました。自噴水の出る水場では、何人かの市民がペットボトルを持参して水を汲んでいました。その人たちと言葉を交わしましたが、西条の水は日本一と自慢していました。
再び講師控え室に戻りくつろいでいると、隣の控え室が何やら騒々しくなりました。外に出てみるとこの大会で、百歳の表彰を受ける高橋さんというお年寄りが、車椅子でステージから花束を貰って車椅子で帰って来ました。私も高橋さんの長寿にあやかろうと車椅子を押す介添えの身内の方の了解を得て、写真を撮らせていただきました。百歳の高齢にもかかわらずしゃんとしていて、私の言葉にもちゃんと反応してお話をしてくれました。
さあいよいよ私の出番です。高齢者で満席のホールで1時間ばかり楽しいお話をさせてもらいました。反応も上々でマイクの通りも良くまあ及第点と言ったところです。講演が終わって正面玄関へ出ると既にタクシーは待っていて、すかさず後部座席に乗り込んで出発しました。高速道路を使ったため帰路も約1時間そこそこで、12時45分に自宅へ到着しました。自分が運転するとこんなにスムーズではないと思いながら、楽が出来たことに感謝をしましたが、少々贅沢だったことが心に引っかかっているようです。
「タクシーで 送迎するとは 贅沢な 言葉に甘んじ 楽をしました」
「百歳の ばあちゃん元気 お裾分け 写真を撮って 握手と会話」
「何人?と 聞けば七百 五十人 会場いっぱい 笑顔溢れて」
「便利だね 講演終り お昼には わが家に帰る 妻も驚く」