○芸は身を助けマナガツオが届きました
三日前の出来事です。友人から挨拶の原稿を頼まれました。私は町の便利屋とでも言うのでしょうか、進水式や結婚披露宴、同級会などには挨拶がつきものですが、日ごろ慣れていない人たちにとってみれば、挨拶くらい頭を悩ませる厄介なものないらしく、その都度挨拶原稿の下書きを依頼されるのです。別に私がするわけではないため適当に書けばいいのですが、頼まれた相手がどんな立場や地位なのか見極めて書かねばならず、結構難しいのです。それでも頼む方はいとも簡単に「ちょっと簡単でいいから書いてや」と頼んでくるのです。
パソコンが普及して随分楽にはなりましたが「簡単に」といわれても、時には筆が進まず半日だってかかることもあり、私的には余り頼まれたくない雑用なのです。それでも相手は多数いてこんな地域に住んでいるのだから仕方あるまいと半ば諦めて原稿を書きました。気をつけなければならないのは日ごろ挨拶に慣れていない人は、私の書いた原稿を懐にしのばせるのならいざ知らず、そのメモを取り出して棒読みすることだってあるのです。
原稿を書いてあげると恩を感じるのか、漁師さんなどは時々大きなサワラ一匹とかとんでもない高価な贈り物が届くのです。
昨日は外出先から帰ってみると今が旬のマナガツオが届いていました。聞けば「先日書いてもらった挨拶原稿のお礼に」とわざわざもって来てくれたそうなのです。豊田漁港ではこの最近マナガツオが獲れ始め、多い人は一網5百万円もの水揚げがあって、久しぶりに浜は活気付いているようでした。もっとも大漁の船は4~5隻のようで、青森県大間のマグロではありませんが、マナガツオの群れを追う漁法はリスクも大きく、群れを見つけれない人は漁獲ゼロの悲哀をなめているようです。私に届いたマナガツオもそんな猟師さんの思いのこもったいただき物だけに、刺身、塩焼き、味噌汁などに料理して飛びきりな春の旬を楽しませてもらいました。
芸は身を助けるといいますが、原稿を書ける裏側には何度となく人の挨拶を聞く機会に恵まれ、自らも人の前で話をした経験を持たないと、人の話す挨拶とはいいながら原稿は書けないものです。時候を盛り込み本題に迫る挨拶はいつも頭を悩ませますが、これも人助けだと思ってこれからも頼まれれば書いてあげたいと思っています。
そんな矢先の今朝、ある県のある町のある町議会議員さんからメールが入りました。読めば議会の一般質問をするらしく、その質問の内容がしっくりいかないらしく、手を入れて欲しいとの依頼でした。一般質問は二日後の月曜日だそうですが、明日中には欲しいとの催促です。私は今日も明日も忙しいので困ってしまいますが、今朝出かける前に手を入れて送り返さなければならないと、早々にこのブログを書き上げ終わる予定です。
「ちょっとだけ 挨拶原稿 書いてくれ 頼まれ御礼 マナガツオ届く」
「ちょっとだけ 頼む相手は いいけれど 書く方結構 大変ですよ」
「書かぬのに 妻もおこぼれ マナガツオ 美味い美味いと 舌を打ちつつ」
「世の中にゃ こんな便利屋 いてもいい 役に立てれば いいではないか」