○宮崎県の朝日が見たくて
私の町は日本一夕日が美しい町と自認していますが、西瀬戸の水平線の彼方にしずんだ夕日はどこかの朝日になって昇るのですから不思議です。その不思議さからか夕日に深い思い入れを持っているのに朝日にも憧れているのです。そんな思いもあって、豊後水道から太平洋に面した宮崎県の海から昇る朝日を見てみたいという思いに駆られ、二日前の夜わが家を車で出発しました。車の中で日替わりとなり午前1時20分八幡浜発の臼杵行きフェリーに乗船しました。さすがにこの時間の乗船はトラック便が殆どで、上昇者は僅か3台で、船室はまるで貸切のような状態で散閑としていました。所要時間は2時間20分なのですることもなく横になってうとうとと眠り、気がつけばもう豊後水道を横切って臼杵の港です。この港は本匠村へ行ったり息子の遊学地を訪ねたり、何かとよく使った場所なので、道筋は知っているつもりでしたが、夜のことでもあるのでカーナビに目的地である宮崎県庁を入力し、その支持に沿って走りました。カーナビは山道を越えて国道10号線に入って間もなく山周りのコースを選んいて、驚きつつも10号線を外れて大分県境を越え延岡まで出ました。
カーラジオは周波数の混乱で電波をうまく拾うことが出来ずガーガーいっていましたが、そのうち左手に太平洋が黎明の中に見えてきて、懐かしい海の香りが漂ってきました。
さあ今回の旅のお目当てである朝日をどの場所で見ようか、思案しながら走りました。夕日に比べ朝日は一瞬の出来事なのでシャッターチャンスはを逃すと上手くゆきません。途中ランドマークで朝日の美しい場所を示す道路標識を見つけましたが、時間が早く思い切って南下しました。ここが限界と水平線辺りが明るくなったので、海からは距離があるもののルミナスパークと書かれた農業公園へ入り、カメラを構えました。時計を見ると午前7時9分でした。何て美しい日本の夜明けなのでしょう。思わず体内に太陽がくれたパワーのような気力がみなぎるのを覚えました。
冬枯れの箒を逆さにしたようなケヤキの木の小枝の向こうに朝日が昇りました。感動的な一瞬です。眠い目を擦りながら走った甲斐がありました。私の下手糞なカメラ技術でもこの2枚の写真はいいアングルな出来栄えだと自分で自分を褒めたいと思いました。
道路沿いに設置されたデジタル温度計は外気温0度と示していました。カーラジオから流れるニュースによるとこの冬一番の冷え込みらしく各地で強風が吹き荒れ積雪も増えているとのことでした。宮崎は東に九州山脈を背負っているため晴れの日が多く、今日もラッキーだったと思いました。
しばし幽玄の世界を堪能した私は、さらに気を引き締め直して国道10号線を南下し、宮崎市内へと入りまたが、早朝なので海岸線へ迂回してそこら辺をドライブしました。何処までも続く松並木の中にシーガイアやホテル、植物園など近代的な建物が所々に立っていて、自然にマッチしていました。経営難がささやかれた施設の運営はその後どうなっているのか気がかりなことも去来しましたが、どこも早朝のことなので入口はチェーンロックされて一般人の侵入を拒んでいました。仕方なく宮崎県庁を目指し再び走り始めました。
「昨日見た 夕日の顔を 見たくなり 車走らせ 朝日を拝む」
「ルミナスと 横文字書いた パーク入り 朝日写真に バッチリ撮りて」
「朝日見て 何がそんなに 面白い 人尋ねるが われ関せずと」
「太陽の パワーいただき 意気揚々 敵陣乗り込む そんな心境」