shin-1さんの日記

○網にかかったキツツキ

 人間牧場が完成して2年余りが経ちました。真新しい感じがした水平線の家やロケ風呂、それにツリーハウスも風合いが出て自然に溶け込んできた感じがします。その間野性豊かな場所に相応しくキジやキツツキ、それにイノシシなどが縦横無尽に走り回り、特にイノシシとキツツキとは残念ながら共生することが出来ず、知恵比べが始まりました。サツマイモを一つ残らず食べたイノシシは銃もワナも持たない非力な私にはどうすることもできず、網を張って侵入を防ぐことしか出来ませんでしたが、皆さんの協力で見事あn成果を収めることが出来ました。しかしキツツキにはどうすることも出来ず、新品の外壁には無数の穴が開けられて、大工さんに頼んで張り替えてもらったその明くる日から被害にあって頭を悩ませたものです。息子は何とかキツツキを捕らえたいと網を張る事を提案しましたが、景観上余り好ましいことではないと最初は反対しました。それでも自分が設計管理した建物が壊されるとあって強行に網を張ってしまいました。内心「そんな網くらいで頭のいいキツツキなど捕らえられるものか」と冷ややかに思っていましたら、ある日キツツキが一羽かかったのです。たまたまサツマイモの作付けのために人間牧場へやって来た教育委員会の職員が見つけ、私に興奮した様子で携帯電話をかけてきたのです。彼は愛鳥精神が旺盛なため「可哀想だから網を切って逃がしてやりたい」と提案してきました。非常にも私はそのキツツキをそのままにして死を待つよう言ったのです。

 かくしてこのキツツキは見せしめのためのオトリになって何日か軒先の網にかかったままになっていました。私はそのうち鳥の死骸を網から外し家に持ち帰って畑の隅に埋葬して、かまぼこの板で位牌を作りねんごろに弔いました。しかしその後もキツツキは捕獲され続け4匹も網にかかったのでした。それでもキツツキの被害は相変わらずで、ロケ風呂にも大きな穴が開けられ始めたので網を張りました。

 昨日久しぶりに人間牧場に上がって見たら、今度は先日息子と張った網にキツツキがかかっているのです。地元の人から聞いた捕獲方法は「開いた穴の中に網を差し込んでおくとキツツキが捕獲できる」というものでした。半信半疑で網を丸めて穴の中に入れておいていました。作戦大当たりで今迄で見たのでは一番大きなキツツキが網にかかっていました。

 息子は自分の作戦が図に当って喜んでいましたが、自然との共生を考えると複雑な気持ちになりました。しかしこれも人間が生きていく上では必要なことだと諦めて、少しの間キツツキのオドシとして役目を果たしてもらおうという話になって、そのままにして下山しました。

 今は野山も実りの秋なので鳥の餌が豊富にあるため、隣の柿の木は柿の実が熟れるほどに鳥の食害にあって、収穫ゼロのようです。間もなく厳しい冬が来ると樹上越冬した糖度の高い美味しいみかんを作ろうとしている農家の方をあざ笑うように、未完の食害が始まるのです。樹上越冬のみかんには、ひとつひとつ丁寧に袋やスキンが被せられるのですが、鳥たちはそんな人間様の防備も何のその、生きていくためでしょうか平気で食い荒らすのです。人間と鳥の追いかけっこは当分の間続き、農家の苦悩も続くのです。

 遠くで鉄砲の音が聞こえています。狩猟なのでしょが、最近は長崎県佐世保の猟銃発砲事件のような物騒な世の中になり、猟銃といえども身の危険を感じて思わず身構えてしまいます。安心と安全なはずの田舎にも何処となく不安と危険が近づいているようです。

  「五匹目の キツツキ捕獲 上出来と 息子胸張る どこか寂しい」

  「見せしめに オドシの役目 させられて 軒先吊るす キツツキ悲し」

  「口ばしを まるでドリルの ようにして コツコツ開ける 住宅づくり」

  「

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