shin-1さんの日記

○フーテンの寅さん裏話

 私の町にフーテンの寅さんがやって来たのは、私が広報を担当していた頃でした。大洲が舞台となった「殿様と寅次郎」には嵐勘十郎、真野響子が出演しましたが、双海町はその映画の冒頭に短い時間ですが出ているのです。

 寅さんは下灘駅のプラットホームのベンチに寝そべって天狗党に追われ逃げる夢を見ていました。「お客さん上りの列車が来ますよ」とエキストラに扮した下灘駅の駅長さんに起こされ、「あーよく寝た」と瀬戸内海に向かって大きなあくびをしてストーリーが始まるという算段です。

 私は丁度広報をしていたこともあって取材に出掛けました。山田洋次監督にお願いしそのシーンを遠巻きにカメラに収めました。ワンカットシーンの撮影が終わって、少しぶらり歩く姿をお願いしましたところ、寅さんは山高帽にトランクという出で立ちで、駅のプラットホームをゆっくり歩いてくれたのです。

 映画は数回見に行きましたしビデオも購入して何度となく見ましたが、その舞台となった下灘駅のプラットホームが、後の「夕焼けプラットホームコンサート」の舞台になろうとは、当時は知る由もありませんでした。

あれから20数年が経ちましたが下灘駅界隈もすっかり様変わりしました。日本一海に近い駅の称号も「かつては」の注釈が必要だし、予讃線を我が物顔で走っていた特急列車も山周りに、その座を奪われすっかり様変わりしています。また複線だった駅構内も無人化となって山側のレールが外され、駅前福井商店も閉まるなど寂しい雰囲気が漂っています。今だったら山田洋次監督のメガネに適ったロケーションポイントだろうかと思うことが時々あります。でもフイルムの影響は絶大で、未だに隠れたファンが訪れます

 昨日仲間がDVDにその映画を納め送ってくれたので、改めて鑑賞して見ましたが、かすかな記憶が蘇り懐かしく思いました。寅さんも嵐勘十郎さんももう天国に行っていますし、振り返ってみれば私も定年を迎え時の流れの早さに驚くのです。

 残したい、伝えたい記憶はいっぱいありますが、私にとってもフーテンの寅さんとのほんの短い裏話は、取って置きたい記憶なのです

  「フイルムを切り取り記憶にしまい込む寅さん映画の寝ているシーン」

  「やあーとだけ返った言葉が嬉しくて何度も見たな寅さん映画」

  「20年続いた駅のコンサート今日もお客を案内し行く」

  「俺の夢駅に寝相の寅さんを造るつもりだジレンマ悔し」 

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