人間牧場

〇一円玉の天気

 天気予報用語で、「一円玉の天気」というのがあります。一円は円単位の基本で、これ以下に「銭」という単位はあっても、お金として流通していないため円は一番下の単位で、一円玉は崩しようがなく、つまり天気が崩れないという意味です。そのことわざのようにこのところ日本列島がスッポリ移動性高気圧に覆われ、毎日毎日雲一つない上天気が続いています。今年の冬は殊の外寒かっただけに、一気に日中夏日近くまで上がって暖かくなった気温に、戸惑っているのは私たち人間ばかりではなく、あれほど待ち焦がれた桜も、たった3~4日であっという間に満開を迎え、早くも散りはしないかと心配している今日この頃です。

花びらの小路

 一昨日妻が隣町長浜のかかりつけの医院へ健康診断をしに行くというので、夕方別の所用のついでに同行しました。実はこの医院は私の妻の妹の縁戚なのですが、開業してまだ10年近くしか経っていないのに、今月末をもって医院を閉じるそうです。何が原因か分かりませんが、察するに人口の年々減り続ける田舎で病院を経営することは容易なことではないようです。思えば伊予市内にも同じような運命を辿って閉じた医院もあるようで、折角医者になるため多額のお金をつぎ込んで憧れの医者になっても、内情は大変なようで、漏れ聞けば閉院したあとの先生は、緩和ケア―往診の医院に移って仕事を続けるようです。

健康診断が終わったその足で所用を済ませ、妻と二人で少し遠回って内子町の枝垂桜を見に行きました。旧内子町役場のすぐ横の川沿いに立派な幹に成長した枝垂桜がかなり植えられていて、枝垂れた枝に沢山の花を見事につけていました。既に花は満開の峠を越えて散り始めていて、道や川面に沢山の花びらが落ちて風情を醸していました。私たち夫婦はこの何年か、暇を見つけて近く遠くの桜の名所を訪ねるようにしています。まだ妻が近所の歯科医院にパートで勤めているので、土曜日の午後や日曜日、しかも近くへしか出かけられませんが、それでも二人に共有の人生の一ページに、よき思い出のアルバムを今年も加えることができました。

 「このところ 一円玉の 上天気 雲一つなく 風も穏やか」

 「毎日の ように友たち 花便り そうだ私も 馬を誘って」

 「お隣の 内子役場の すぐ横の 川沿い枝垂れ 桜見事に」

 「待ち焦がれ いたのに桜 はや散って 何ともはかない 道を歩きぬ」 

 

 

[ この記事をシェアする ]