shin-1さんの日記

○集落が消える

 (財)明日の日本を創る協会が発行している季刊誌まちむら94号の「まちづくりの現場から」というコーナーで、依頼されて私の書いた゛愛媛で動き出した「人間牧場」構想゛が掲載され手元へ送られてきました。3ページ立ての記事は、「若者の溜まり場ー私設公民館煙会所からの出発」「人間牧場での三つの課題」「自分自身の生き方追求」「家族との向き合い」「まちづくりをテーマにした人と地域への自立支援」という中見出しが示すように、人間牧場を何故つくり、人間牧場をどう使うのかといった私の想いを書き綴っています。多分この雑誌はまちづくり団体やまちづくり人に送られるのでしょうが、残念ながらその殆どは聞き流し情報として紙ごみとなる運命にあるのでしょうが、それでも僅か1パーセントの読者がこんな小さな記事を読み、その読んだ人の1パーセントが触発されて行動を起せば、日本の隅々にまちづくりは広がって行くのです。まあこんな具合におおらかな目で見ないとアナログ・デジタル入り乱れた情報化社会では生き伸びれないのです。

 まちむらのラビア・ルポ・論文・現場報告を隅々まで読みながら、集落のことについて考えてみました。私の町旧双海町には大小36の集落が谷あいにへばりつくように点在しています。奥大栄や富岡・、壷神といった地域では戸数が激減し、東越のように集落が消えるのも時間の問題ではないかと心配されています。かろうじて集落を保持している他の遠隔地域も独居老人が増えてそれはそれとして高齢化問題などで悩みは尽きないようです。

 別の雑誌ですが現場からの報告と題した記事が目に留まりました。山形県酒田市の沖合いに浮かぶ飛島という島の話題です。酒田市から船で1時間半のこの離島は9割以上が50歳という超高齢化の島です。人口も減り続けて10年後の人口推計は限りなくゼロだというのです。そんな島に夢なんかあるはずがないと思いがちですが、そこに住む人たちはかつての賑わいを思い出しながら何とか夢よもう一度と頑張っているのです。こうした地方の厳しい窮状など東京で政治をする霞ヶ関の人たちには知る由もなく、自治省の統計ではこの10年間で1000箇所とも2000箇所ともいわれる集落が消える数字にさえも殆ど驚くこともなく放置しているのです。

 私の町にお激しい過疎と高齢化の波が押し寄せています。行政はそんな実態に手を差し伸べるでもなく、合併によってこの一年間で都市型に合わせる平準化行政、画一化行政にすっかり様変わりしてしまいました。市会議員も行政職員も誰も気付かないふりをして時は流れているのです。

 「集落が消える日」はそんなに遠いことではありません。集落のあちこちに空き家が目立つようになりました。不便な田舎は車なしでは暮らせません。車に乗れる年齢を最大見積もり80歳としても時間の止まったような高齢者はこの町にも沢山ひっそりと暮らしています。やがて私も車に乗れなくなれば時間は止まるのです。その日のために自然と向き合って生きるすべをお年寄りから学んでおかなければなりません。見本はわが家の親父でしょうか。

  「ショックです 10年推計 人がゼロ 私の力じゃ どうにもならぬ」

  「情報誌 読めば読むほど 味がある 知識を知恵に 変える秘訣が」

  「読みました 突然届く メール読み 見知らぬお方に 返事返信」

  「三通の はがきを書いて 投函す 返事は全て メールで届く」   



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shin-1さんの日記

○懐かしい人に会いました(4/20・家地地区)

 デジカメの写真を整理していたら7月11日の日付の写真の中に忘れてた3枚の写真を見つけました。それは4回目の旧西土佐村行きの時の出来事です。3回目の会場で一人の女性に会いました。見覚えのある顔の女性が「若松さん覚えていますか」と唐突にいうのです。不特定多数に講演する私としては参加者の顔を全て覚えるのは困難なことなのですが、そう言われて心の動揺を覚えました。確かに覚えている顔なのに名前が出てこないのです。相手の女性は「JAの講演でお世話になった坂井伸美といいます」と告げ、やっとの思いで数年前の出来事にたどり着きました。彼女がJAの生活課に務めていた頃女性部の研修会に講演で招かれ知り合っていたのです。彼女からその後JAを辞めて国道沿いに小さな喫茶店を開いているので時間があった時立ち寄って欲しい旨の話を聞いたのですが、立ち話だったので場所を聞くことも出来ずに講演終了後暗い国道を走っていました。突然行く時気付かなかった話しに出てきた喫茶店が見えました。車を駐車場に入れると彼女は既にお店の中に帰っていたようでしたが、突然の私の来訪に驚いた様子で、落としていた電気のスイッチを入れて店を見せてくれました。先を急ぐ夜のことなのでその日はあいさつ程度で再会を約束し分かれました。

 7月17日の講演会に行く途中少し時間があるのでお茶でもと思い、「彩花」という看板に誘われてその喫茶店に立ち寄りました。

 店の中では中年夫婦がコーヒーを飲みながら彼女と話をしていましたが、コーヒーを飲めない私はフラッペを注文しました。居合わせた電話工事を営むご主人も交えお店やその周辺を案内してもらいました。退職金の全てをつぎ込んでの転職による起業はかなり勇気がいったそうですが、長年の夢をかなえた安堵感でしょうか彼女の顔は生き生きと輝いて見えました。同じ境遇でJA職員から転職しお店を持った私の妹の話をしながら出されたフラッペで喉を潤し、四方山話に花を咲かせました。

 裏庭に出て工事現場に捨てられていたものを拾って育てている犬とツーショット、彼女が坂井伸美さんです。一見何処にでもありそうは住宅風で外から見ると喫茶店とは思いませんが、中に入ると素敵な木の香りのする日本風な造りになっていました。

 裏には四万十の流れがあるのですが、残念ながら竹やぶが茂ってその全貌は見れないのです。でもその分瀬音に心情をかきたてられいい雰囲気でした。店の名前「彩花」からは程遠いようでしたが、そこここに花や木を植えたりしながら花園の中の喫茶店を目指しているようでした。夢から現実へ彼女の挑戦は投資を伴っているだけに後戻りは出来ない厳しさです。でもそんな生き方が出来る彼女は凄いと思いつつお店を後にしました。頑張って欲しいものです。

 「幾らですか」と清算して出ようとすると幾ら出そうとしてもお金を受け取ってくれませんでした。「氷くらいでお金はいただけません。いつでも立ち寄ってください」と優しい言葉が帰って来ました。「損をして得をとる」借りが出来たと思いつつ、次の機会に委ねました。

  「妹と 同じ境遇 重ねつつ 赤いフラッペ 喉を潤す」

  「夢追いし ここにもひとり 馬鹿がいる 苦あれば楽あり 繁盛祈る」

  「捨て犬を 拾い育てる 優しさに 思わず触れる 旅の途中で」

  「四万十を 見せることより 隠すこと 反対ですが 逆も真なり」

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