shin-1さんの日記

○届いたレポート~今度はうどんの花を見てみたい~

 仕事柄というべきか、地域づくりのコメンテーターとして今年も請われるまま、北は北海道から南は沖縄まで、日本全国各地の田舎を訪ねて歩きました。そこで見聞きしたものは過疎や高齢化に悩む田舎の厳しい現実と、それでもなお逆境を跳ねのけ、生き生きと輝いて生きる人たちの姿でした。たった一度の出会いであっても心の機微を便りに託し、その後の交流につなげている人も沢山いるのですが、往々にして平成の市町村合併以来、役所に勤める人に何となく元気がないことが気がかりで仕方がありません。役所の人は二言目には「金がない」「中央に聞かなければ分らない」などといっていますが、本当にそうなのか、ひょっとしたら「やないことをやれない」と言い訳しているだけに過ぎないかも知れないとつくづく思うのです。田舎には限界集落問題や学校の統廃合など、田舎自身の問題でありながら大きな行政課題があるのですが、そんなことは見て見ぬ振りをして、「やれ給料が上がらない」と自分たちの主張のみを繰り返して平然としている姿を見ると、かつて35年も役場の職員として地域活性化のために働いてきただけに、余計腹立たしく感じてならなにです。そんな私の話などブログに書いたり喋ったりしても馬耳東風とばかりに無視されてしまう昨今なのです。

 そんな中の昨日、島根県鹿足郡吉賀町六日市の吉中力さんから「吉賀の地域づくりと公民協働」という一冊のレポートが届きました。「島根の未来を考える」という報告書の、僅か11ページの抜粋本なのですが、年末のしかも昨日からぎっくり腰を患っているため、食い入るように読ませてもらいました。吉中さんは吉賀町教育委員会の次長さんをしています。何年か前島根県生涯学習センターの仕事で、六日市町を訪ねた折、名刺交換して夜の交流会で知り合い、多分それ以外一度くらいしか出会いはないと思われるのですが、「よくぞ覚えていてもらった」と感謝しつつ、「はてさて吉賀町とは一体何処だっけ」と封書の鹿足郡という送り主を見ながら、「ああ師井さんの柿木村と吉中さんの六日市町が合併して誕生した町か」と直感し、封を切って読ませていただきました。

 吉中さんのレポートは、都市と地方の共生、21世紀は心の時代、ふるさとって何、食を通じた教育の重要性、国民共有の財産、昭和の大合併から平成の大合併へ、地域づくり研究会、キーワードは人という項目が起されています。

 最初の書き始めが面白かったです

 農林水産省の若手官僚が初めて目にした白いソバの花の、その余りの美しさに感動して思わずつぶやいた。

「今度はうどんの花を見てみたい・・・・・」。(全国津々浦々に存在する農山漁村の実態とあまりにもかけ離れた国の農業施策を皮肉った、ある機関紙のコラム)

 レポートの殆どの部分に同感しながら、島根県の殆どの町や村を訪ね歩いてきた過去の記憶を思い出し、もう一度近いうちに吉中さんや師井さんに会いに行こうと思いました。吉中さんのような人がいる限り、過疎も高齢化も少子化も乗り越えていい町や村ができるのだと思います。結局地域づくりは人なのです。

  「一冊の レポート読んで 感激す 田舎どっこい 元気はつらつ」

  「一枚の 名刺便りに 送られし レポートほのか 田舎の匂い」

  「文字を持つ 人間ゆえに 感動す メールにはない アナログ文化」

  「合併で はてさてこの名? 首ひねる かすかに郡名 思い出しつつ」 

 


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