shin-1さんの日記

投稿者: | 2007年12月27日

○長~い一日

 何日か前、日頃は太陽のように明るく振舞う妻の顔がまるで曇ったようで浮かない日がありました。聞けば四人兄弟の長男で後を継いでいる妻の兄がどうもガンらしいというのです。10月頃から風邪気味で体調を崩していたようで、近所のお医者さんで診てもらったものの風邪らしく、その処置をしていたのですが、精密検査の結果喉にガンが見つかり、それも5段階の4まで進行しているので、即手術ということで四国がんセンターに入院して手術の日を待ちました。

 月曜日には兄弟で病院に行き、かかりつけのお医者さんの説明を本人も交えて聞いたようです。私も義理の兄弟なので行くべきだろうと思っていましたが、所用のため妻が兄と弟を伴って病院で先生の詳しい病状と手術予定、その後の日常生活などを細かく聞いて帰ったのです。昨晩今日の手術が9時から始まるという連絡を受け、八幡浜の兄や東京からこの日のために帰省した本人の息子、長浜の妹が一台の車に乗り合わせて朝6時半にわが家へ着きました。私の家で私の車に乗り替え、私達夫婦を含めた5人で四国ガンセンターへ向いました。早朝といいながら既に車は混んでいて、砥部の拾町交差点ではラッシュ気味でしたが、わが家を出て1時間余りで病院に到着しました。

 久しぶりに義兄に会いましたが、声は絞り出すようなかすれた声で、病気が病気だけに昨晩は眠れない夜を過ごしたのでしょうか、横になって寝ていました。やがて看護師さんがやって来て、「9時から手術室に入り手術のための麻酔を打ちます。手術はだいたい3時間くらいかかります。手術後はICUへ入って明日まで様子を見ます。その後経過がよければ一般病棟へ入ります。手術後麻酔から覚めれば面会できます。その際手術の結果を執刀の先生から家族の方に説明します」と丁寧な説明があり、兄は担架に乗せられ手術室へ消えて行きました。

 約3時間、手持ち無沙汰な時間を待合室で待つのも大変だからと、私は今朝急いでいて忘れてきた携帯電話を取りにわが家まで帰りました。帰るのであればと妻から頼まれたお使いをして、約3時間後病院へ帰って来ました。その間運転しながら今頃兄は手術室で難儀をしているだろうと思うと、心も頭を少し暗くなりました。

 病院に帰って家族待機室へ帰ってみると、まだ手術が終わっていないようで、それぞれイライラしながら待っていました。4階から7階まで上がり、外の見える部屋で待機しました。7階からは駐車場がよく見えます。荷物を持って病院の玄関に向う人、荷物を持って家族とともに車へ向う人様々です。しかしもう直ぐ来る正月のせいでしょうか、病院から出てゆく患者さんの方が多いようでした。束の間の正月をわが家で過ごすに違いないと思いながら、まるで人間模様を見ているようだと思いました。

3時になってもまだ兄の手術が終わったという知らせはなく、イライラが募り、看護師詰め所へ聞きに行っても「まだ終わりませんのでお待ち下さい」だけでした。3時間の予定が6時間ですからこれは大変だと思ってもどうにもなりません。

 そのうち看護師が「二宮さん。手術が終わりましたので4階のICU室までお越し下さい」と呼びに来ました。私たちはぞろぞろとエレベーターで4階まで降りて、ICU室に入りました。やがて主治医がやって来て、今取り出したばかりの患部切り取り部位をガーゼから取り出して、図を見せながら説明してくれました。妹は顔を伏せて見ませんでしたが、妻は気丈にも質問をしたりしながら熱心に聞いていました。祖母、母、私などの病気や手術にこれまで幾度となく立ち会ってきたしたたかさが彼女をここまでしっかりさせるのでしょうか。感心しました。やがて面会が許され手を消毒してICU室に入りました。兄は既に麻酔から覚め、目はつぶっているものの私たちの問いかけに首を振ってしっかりと答えてくれました。

 病室を出た私たちは医者の話、自分達で確かめた兄の顔などを総合して、手術は成功したと思い、長い待ち時間や手術後の緊張した時間にもかかわらず、少しわれに帰ったような心境でした。気がつけば私たちは昼飯も忘れていました。まるで兄と一緒に手術を受けるような心境だったのです。帰り際、妻が食事でもして帰ろうと言い出し、少し遠回りをして寿司屋に立ち寄りました。5人がそれぞれの話しをしながら腹を満たしました。

 馴染みの寿司屋の大将が、「若松さん、この間テレビに出とったの見たよ」t優しく声を掛けてくれました。「手術で病院は大変だっただろう」と、飛び切り美味い寿司をいただきました。

 それにしても今は時代が変わって、本人にガンを告知して手術をするようです。私の親父がガンになった時は、親父など病気が回復するまでガンなどとまったく知らされずにいましたし、7年前に亡くなった母も最期までガンと知らずに天国へ行きました。私はこの病院へは来たくないと誰もが思うのでしょうが、いずれそんな宿命をあるのかも知れません。その時の来ない事を願いながら長い一日は夜を迎えようとしています。

  「がん告知 された兄さん 手術する 予想を越えて 六時間とは」

  「七階の 窓から見える 人の群れ 来る人重く いぬ人軽く」

  「正月も ない職場にて 励む人 息子も同じ 職場に生きる」

  「腹減った 気がつきゃ昼は 飯食わず 寿司屋に寄って ほっと一息」 

 

 

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