〇シーサイド公園の願い石にまつわる笑い話
私が若いころ手掛けたシーサイド公園の一角に、「願い石」というちょっと変わった石の彫刻が置かれています。私はちょっとした遊び心でこのモニュメントを造ることを思いつきました。モニュメントの上には男性と女性の手形が「願い石」と書いた文字とともに彫り込んでいます。
側面には「上の手形にそっと手を乗せ夕日に向かってお祈りすると二人は幸せになれる」と文字が刻まれていて、時折若者がお調子半分でワイワイいながら「本当に幸せになるのだろうか?」と言いながら手を乗せて楽しんでいますが、昨日「瀬戸内Tシャツ展」があって訪れると、老夫婦と思われる2人が、「わしらでも幸せになるるのだろうか?」と会話しながら手をかざして夕日に向かって祈っていました」
このモニュメントを造る時、隣町の馴染みの石屋さんのご主人に相談し見積もりをしてもらうことになりました。見積もりは確か当時10万円くらいだったと思うのですが、「そんな費用はなく私費で3万円出すからやってくれ」と頼むと、「材料代にも届かない」と断られました。粘って「モニュメントのそこに石屋の名前を書いたら宣伝にもなる」と甘い言葉で説得し了解を取り付けました。
そのうちモニュメントは出来上がり運ばれて今の場所に設置しましたが、私は「そこ」と言ったのに石屋さんは「底」と勘違いしてしまい、設置すると石屋の名前は土の中へ完全に埋まってしまいました。「若松さんに騙された」と言われましたが、「そこと底はそこが違う」と相変わらずのトンチで切り抜けましたが、悪いと思った私は3万円に1万円を上乗せしてポケットマネーで払いました。今となっては笑い話です。