人間牧場

〇レジリエンス 

 最近は横文字の言葉が多く、私のような学歴のない人間にとっては中々理解し難い世の中です。それでも便利になった世の中のお陰で、若い頃のように分厚い広辞苑を引くでもなく、パソコンに横文字を入力すれば、詳しい意味と使い方などが出て大助かりです。研修会などに加わると横文字知識に疎い私ゆえ、高学歴と思しき人たちの話す横文字が直ぐには理解できず、分かったような顔をしているのもどうかと思い、赤恥をかくことを覚悟で先日も「『レジリエンス』とはどういう意味ですか?」とみんなの前で発言者に質問してしまいました。

 発言者は「それも知らないのか、低能だなあ」と言わんばかりな目つきで私を見ながら、「レジリエンスはレジリエンスです」と説明してくれました。研修会が終わって横に座っていた人が、「若松さん、実は私も知った様な顔をしていましたが、レジリエンスという言葉の意味を知りませんでした。あなたのように質問する勇気もなく質問しませんでした」と小声で吐露してくれました。それにしても「レジリエンスはレジリエンスです」とはどういうことなのか、多分使っていた本人もとっさの質問に、答えを失なったものと思われました。

 帰宅後パソコンでその意味を調べてみると、「不屈力」とか「回復力」とか、「立ち直り力」という意味だと分かりました。私は水産高校出身なのでそういえば、航海術の先生が授業で船の復元力の話をした折、人間の生き方になぞらえて「レジリエンス」という言葉を使っていたことを思い出しました。もう60年前の出来事なのですっかり忘れていた横文字言葉でした。世の中には色々な困難に会いながらも凹まず生きている人は沢山います。その人たちは今の困難ではなく現在を、幸せに向かう途中だと考え、諦めることなく希望を持って生きているのです。

 もし私が「レジリエンス」という言葉を聞いて知ったかぶりでいたら、この言葉の意味も分からずやり過ごしていました。かく言う私もこれまでの75年生きて来た折々には、望ましくないことが自分の道を度々塞ぎました。特に若い頃親父や私自身の病気で人生の羅針盤が狂いかけた時、悪くなった体は今だけど、病気を直して元気を取り戻せば何とかなると思い、萎むことなく生きてきました。私のレジリエンスの意味は復元力で、「心は未来にある」と信じて凡人ながら今日も生きています。

「レジリエンス それは何か? 問うたなら レジリエンスは レジリエンスと」

「低能な 私にゃ分からん 横文字が 多過ぎ時々 恥を覚悟で」

「そういえば 航海術の 授業にて 60年前 聞いた言葉だ」

「楽天家 希望を持って 生きている 心は未来 強い心で」

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