〇タケノコのお裾分け(その2)
わが家へタケノコが大量に届いたのは土曜日の午後3時ころでした。手持ちのタブレットに内蔵している気象クラウドによると天気は下り坂、しかも前線を伴った低気圧の接近で夕方から大荒れの天気が予想されました。さりとて大量のタケノコをそのままにして、明くる日の天気回復を待つ余裕もなく、思い切って大きなかまどを倉庫から取り出し、何はともあれ準備を始めました。まず灰汁抜きのための米ぬかを調達すべく、近所の米屋さんに電話を掛けてみましたが、「今はお米をつかないためない」と言われました。思いついたのが近所のコイン米つき機のある高村電器店でした。ご主人が電話に出て「差し上げますので袋を持って来てください」と言われ、単車を飛ばし貰ってきました。
まず大釜を水洗いしてバケツで水を入れ、火を焚きつけました。少し風が強くなったので風で火の粉が飛ばないよう、かまど付近から離れないよう自分に言い聞かせ、タケノコを包丁で半分に割って皮を剥き、根元の固そうな部分を削り取り、さらに半分に割ってお湯の中へ順次投入した上に、貰って来た米ぬかを大量に入れました。風が適当に入り火力が強いのであっという間にお湯はグラグラと沸き立ちました。吹きこぼれないよう時々蓋を開けて水をつぎ足し、2度茹でたお湯を入れ替えて2時間ほどしていると妻が外出先から帰り、私のタケノコを茹でる姿を見て大いに喜んでくれましたが、手伝うこともないのであれやこれや注文を付けただけで家の中へ入ってしまいました。
もうそろそろかな?と思い、タケノコ茹でに慣れている妻にを呼ぶと、妻は慣れた手つきで竹ぐしを茹でたタケノコに差し、「もうひとくべ」と言いました。軒先の薪を一抱え投入したころには大嵐になりました。軒先で雨を除けながらの作業は夕方まで続きましたが、何とか終えて火の気のなくなるのを見届けて、そのまま朝まで蒸しておきました。昨日の朝かまどの蓋を開けてみると余熱もなくなり、柔らかいタケノコができていました。大釜から取り出し丁寧に水洗いして、昨日は息子や娘、知人友人へ3個ずつお裾分けをするため走り回りましたが、みんな喜んでくれ、少しの苦労も報われた感じがしました。昨晩はタケノコと鯛のあら炊きが食卓に上りましたが、自分が茹でたタケノコだけに美味しさも一入でした。それにしてもタケノコは厄介な食べ物です。ましてや貰ったタケノコの剥いだ皮の量は大量で、貰ったほどもありました。
「中庭に かまど大釜 据え付けて タケノコ茹でる 作業黙々」
「米ぬかを 貰いあく抜き 手間かかる タケノコ掘った 人も加わり」
「一夜明け 余熱で蒸した タケノコは 灰汁もすっかり 抜けて柔らか」
「タケノコを 袋に入れて お裾分け やっと昨晩 私もご賞味」