人間牧場

〇人生相談

 私は悩める人の相談に乗って、人を導くほどのカウンセリング技量は持ち合わせていませんが、それでもこれまでの経験から、「相談に乗って欲しい」という人が結構やって来ます。相談の内容も人それぞれですが、最近は世相を反映してでしょうか、年齢・性差・職業を問わず、「心の悩み」が圧倒的に多いようです。学校へ行けない子どもや先生、職場に出勤できない人など、外見だけでは推し量れない深い悩みを持っているのです。

 うつ病になる人の殆どは正義感が強く、真面目過ぎるほど真面目な人が多いようです。昨日煙会所にやって来たAさんも典型的な真面目人間で、私と対面するなり堰を切ったように涙を流しながら話を始めました。仕事のこと、職場や家族との人間関係など、理想と現実の狭間で苦しんでいる心情を吐露されましたが、医療機関に通院し休職中らしく、2ヵ月後の職場復帰に向けてどう心を立て直せばいいのか、一緒に考えましたが、うつ病に禁句の「頑張れ」と言うこともできず、とりあえず次の再会を約束して帰って行きました。

 昨日の午後、酒とパチンコ依存症のご主人を連れて、顔見知りの奥さんが煙会所にやって来ました。聞けばBさんは5年前胃がんを患い、胃の殆どを摘出しているのに酒を呑むのだそうです。元々好きだったパチンコも、胃ガンの療養生活中に気晴らしのつもりで始めたようですが、時々フィーバーする忘れられないパチンコの醍醐味を覚えて、毎日「晴パチ雨パチ」だそうです。晴パチ雨パチとは晴れた日も雨の日もパチンコのことを言うのですが、最近は消費者金融に借金も少しあるとのことでした。

 前もってインターネットで調べていた依存症脱却法の幾つかを話してあげましたが、奥さんの寄り添いが一番だと二人三脚の必要性も協調しました。酒は度を越すと健康を害します。パチンコも小遣いの範囲なら救いようもありますが、消費者金融で借金をすると自分の暮らしのよすがである、家財まで手放さなくてはならない羽目になることもあります。人生において極めて大切な「命とお金」にどう向き合うのか、Bさん夫婦の覚悟を促して二人は帰って行きました。

  「大真面目 ゆえに不真面目 なれなくて うつ病発症 寂しい限り」

  「酒溺れ パチンコ溺れ どうしよう? 救命浮き輪 奥さんなって」

  「人は皆 弱い者だと 二人見て 思ったけれど 助けもできず」 

  「もう一人 自分の体内 いる人と 会話をしつつ 強く生きねば」

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