〇季節の移ろい
春が来て夏が過ぎ、冬の足音を聞きながら晩秋のこの時期を迎えていますが、今年はことのほか周囲の山々の紅葉が綺麗で、特にハゼモミジの赤い色が一際目立って、モミジの名所へ行かなくても四季の移ろいを堪能させてくれるのです。今朝私たちのダイニングの窓越しに、私の植えて育てている山モミジが色合いもよく紅葉しているのを妻が気付き、「綺麗ねえ」と言いながら、二人で昼食を食べました。
この山モミジは15年も前、山歩きをしていた時、道端の雑草の中から小さな芽を引き抜いて持ち帰り、裏の畑に植えた10cmほどの苗木が大きくなったものです。丹精こめてというよりは、自然体で大きくなったのを刈り込んで育てたもので、まさに自分流の容姿です。春の芽吹き、夏の葉繁り、冬の枯れ木と姿を変えて季節を演出してくれますが、晩秋のこの時期はそれなりに紅葉の衣を着て、私たち夫婦の目を楽しませてくれています。
今朝ジョギングから帰って家の入口付近にお祀りしている、お地蔵さんへ上がる坂道を見ると、シダレモミジが紅葉し、昨日の雨であっという間に紅葉した葉っぱを落とし始め、坂道一面にモミジの葉っぱを敷き詰めたような雰囲気でした。モミジの紅葉もさることながら落ち葉吹雪でもいうべき姿を見て「わあ、綺麗だ」と思うのも、心の余裕かも、それとも歳のせいかもと思いながら、しばらくな間見とれていました。
そこへ近所の人がお地蔵さんへお参りにやって来ましたが、その人は上を見上げて「モミジも散り始めましたね」と言いながら、無造作に敷き詰められた落ち葉を踏みつけて坂の上まで上がり、お地蔵さんに手を合わせてお祈りをしたあと帰って行きました。心の中で「勿体ない」と思いつつ、踏みつけられた落ち葉を見て少し心が傷みました。今日は天気も良くて小春日和です。間もなく落ち葉を吹き飛ばすような季節風が吹くことでしょうが、もう少し風情を楽しみたいと思いました。
「山モミジ いつの間にやら それなりに 大きくなって 衣をまとう」
「窓越しに 紅葉綺麗 山モミジ 夫婦愛でつつ 朝食食べる」
「音もなく ヒラヒラ落ちる 山モミジ 錦織りなし 坂道埋める」
「お地蔵さん 参拝来た人 無造作に モミジの葉っぱ 踏みしめ帰る」