〇義妹の急死(その2)
病院内救急処置室の前では、義妹の娘が警察の人から話を聞かれていました。娘は私たち夫婦の顔を見るなり泣き崩れ、母親が先ほど息を引き取ったことを告げました。警察官は3人もいて不審死であるかどうか見定めるため、検視をしたり聞き取り調査を行なっているようで、処置室への入室は許されず、もっぱら警察官の事情聴取を受けている、気が動転した娘の援護に終始しました。
三男が警察官をしていて同じような仕事をしているため、それなりに理解しているつもりでも、義妹に一刻も早く逢わせてやりたい妻の心情を思えば、少しだけ気持ちが高ぶりました。やがて検視が終わり対面が許されて処置室へ入りましたが、妻は勿論のこと私も溢れ出る涙が止まりませんでした。聞けば義妹は今朝方様子が急変し救急車で搬送されました。一週間前わが息子の結婚式にも病弱ながら列席してくれていて、こんな急逝を予想もしなかっただけに、義妹の急変急死は大きな驚きでした。
難病と言われる原発性肝臓病と知らされたのは20年も前のことでした。以来入退院を繰り返していたものの、家族の温かい心に見守られながら夫婦二人で穏やかな暮らしをしていました。最近腹水が溜まり始め、足にもむくみが見られていたので、姉である妻も何かにつけて義妹の元へ足を運んで様子を見てくれていたようでした。この4~5日妻も義妹も風邪気味で、お互いに少し出会いをしなかったのが少し心残りのようでした。
義妹は姉の妻より二つ歳下ですから満67歳です。享年68年の生涯を全うしつつも、人生80年といわれる現代世相を思うと、少し早死にした感じもしますが、長年の闘病は本人にとって人には言えない苦しみの連続だったに違いなく、「お疲れ様」「やすらかに」と言ってやりたい心境です。今日はお通夜、明日は葬儀と慌しい仏事が続きますが、昨日の夜は親類縁者が集まり久しぶりに、個人にまつわる思い出話を枕元でいっぱいしてやりました。
「涙する 妻の姿に もらい泣き 義妹急逝 涙止まらず」
「難病を 患い入退 繰り返す 闘病思いつ お疲れ様と」
「妻・家族 覚悟してても 急逝は 心残りで すきま風吹く」
「母危篤 帰ってみれば 母命 天国召され 息子呆然」