〇練習を怠っているハーモニカ
以前は家庭にいる時、よく練習していた手持ちのハーモニカも、最近はすっかりご無沙汰で、吹いていないことに気がつきました。というのも県外の出張先から帰宅して、出張の間に読まなかった新聞を、まとめ読みした折、1月21日(月)付けの新聞朝刊に、4ページに渡って「日本の演歌・全126曲」という見出しのユーキャン広告が載っていたからです。美空ひばり・北島三郎・八代亜紀・三波春夫・川中美幸・舟木一夫・五木ひろし・島倉千代子・千昌夫・鳥羽一郎・石川さゆり・村田英雄・吉幾三・細川たかし・都はるみ・森進一・水前寺清子・大川栄策などなど、往年の演歌歌手の顔写真がずらりと並び、昭和から平成までのヒット人気曲126曲が納められているCDを、通販限定で買わないかというお誘いでした。
見開きのページを開くと、第1巻から第7巻まで、1巻にそれぞれ18曲が納められているのです。私はどちらかというと古い時代の人間といわれる古風なタイプで、演歌が好きで、酒を飲んでいた頃は二次会・三次会と繰り出してカラオケで、下手糞ながらマイク片手によく歌っていました。下手糞を自認しているのに、お客さんが拍手をしてくれるので、酒の勢いを借りて有頂天になって歌うのですが、エコーの効いた声とテレビ画面に映し出されたイメージ画像に酔い痴れ、まるでスター気取りのようでした。
酒を飲まなくなってから、早くも10年以上が過ぎました。足繁く通っていた馴染みの店もすっかり遠のき、歌うことなど殆どなくなってしまいましたが、古きよき時代だったとしみじみ思うのです。
北の宿から・さざんかの宿・おもいで酒・浪花恋しぐれ・矢切の渡し・王将・柔・ふたり酒・チャンチキおけさ・風雪ながれ旅・昔の名前で出ています・祝い船・兄弟船・霧にむせぶ夜・人生峠・奥飛騨慕情・嫁に来ないか・悲しい酒・人生劇場・北帰行・哀愁波止場・長良川艶歌・ふるさと・襟裳岬・星影のワルツ・北国の春・酒よ・高校三年生などなど、懐かしい歌が目白押しでした。
私は早速書斎に置いているハーモニカと、木になるカバンの中に忍ばせているハーモニカを取り出し、思いつくまま何曲か吹いてみました。今年最初の練習だけに最初はこわごわでしたが、そのうち口も滑らかに吹けだしましたが、そのハーモニカの音色を聞きつけた孫が書斎にやって来て、「それ何という歌」とか、「ドラえもんの歌を吹いて」と、あつかましくまとわりつきました。いやはやハーモニ家を自認する私も、孫にあったら形無しでした。
「涙にくれる切ない夜に、ふと酔いたい歌があります。」「日本男児の熱い人情と心意気、歌って元気が湧いてくる。」「行き交う男女の情愛を語る、大人の歌に聴き掘れる。」などと書かれた中見出しは、私の忘れかけていた昔を思い出させてくれました。演歌は古いとかよく言われますが、演歌には日本人が忘れかけていた温もりを感じます。古いと言われても私はこれらの歌をハーモニカで吹きながら心の中で歌い続けたいと思っています。歌っていいですね。でもこのCDを買う勇気もお金もないのです。
「新聞の 演歌広告 懐かしく ハーモニカ吹く 昔ありあり」
「カラオケで 歌った歌を 思い出す あの人今は どうしているか」
「ドラえもん 吹いてと孫に せがまれて 吹けぬ自分が 恥ずかしくなり」
「演歌など 古いと人に 言われよが やはり私は 演歌が似合う」