〇おひねりで840円の投資
昨日、招かれた長崎県西海市の生涯学習推進大会で、ある女性から講演中ティッシュに包んだおひねりをいただきました。普通おひねりは小銭なのでしょうが、貰った相手に失礼と思いつつ、あえて中身を公表すれば千円札でした。千円もおひねりをいただいたので、私の木になるカバンに入れて持ち歩いている「夕日徒然草」という、自著本を差し上げようかとも思いましたが、講演を中断することもできず、講演終了と同時にお互い別れ別れとなって、目的を果たさず帰宅の途に着いてしまいました。
小倉までの往復キップを買っていたので、とりあえず特急みどりとソニックを乗り継ぎ小倉まで帰りました。次の新幹線乗継までの待ち時間の間に、JR小倉駅構内にあるKUMAZAWAという本屋に立ち寄り、いただいたおひねりを有効に生かすには、私の知的進化につなげれる物をと考え、作家五木寛之著の「選ぶ力」という本を買いました。
本屋へは松山へ行ったついでに時々立ち寄るものの、本屋さえない田舎の町に住んでいると、本がなくても日々の暮らしはできるため、ついつい暮らしの中から本が遠のいて、気がつけばむしろネットで検索して読む、デジタル文字とのつながりがりの方が多くなっているのです。本屋ではいつものように幾つかの本棚を無意識に回りながら、幾つかの本を立ち読み・ただ読みしながら、一冊の本の前に立ちました。本の帯に「人生とは選択の連続である」と書かれたその言葉が妙に気になり始め、私の癖であるはじめにと、目次と終わりにを一気に読みました。傍を咳をしながら歩く店員さんを気にしながら、このまま本を買わずに出るのも悪いと思いながら、その本を手に取り、おひねりで貰った千円の範囲内で買える840円の投資をして、本にカバーをつけてもらい、お金を払って本屋を出ました。
この本に書いているように、人生とは選択の連続だとしみじみ思いました。この二日間だけでも、船にするか、列車にするか、何処に止まるか、何時の列車にするか、列車は指定席にするか自由席にするか、朝飯は何を食べるか、久しぶりに出会った友人に何を言おうか、講演ではどんな話をしようかなど、色々自分の心の中で小さいながら葛藤をして、自分なりに選択して過ごしてきました。その選択が100%パーフェクトではなかったと、思いつつ二日間の行動を思い出していますが、復水盆に返らずの例えの如く、今となっては諦めるしかないのです。
この本に書かれているように、例えば健康の話しでも、早起きは三文の徳といわれる一方で、早起きは余り身体によくないとか、酒は百薬の長といわれるものの、酒を飲むと必ず脳細胞が壊れるという医師の話も、またタバコは百害あって一利なしといけれど、タバコを吸っていても百歳まで長生きしている人だっているというのですから、何を信じて選択すべきか、情報が錯綜して届くため大いに迷うのです。
自分の道をどう探すか、「選ぶ力」という本を読んで益々私の選び方は混迷の度を深めたようですが、自分が正しいと思って生きることが何よりだと、納得した本でもありました。840円の知的進化のための投資は、既に十分役に立とうとしています。おひねりを下さった女性に感謝します。つり銭の160円は私の貯金箱に入れ、次の投資のために役立たせて下さい。
「おひねりを 貰った金で 本を買う 選ぶ力が 迷い危ない」
「人生は 毎日毎日 選択を しながら歩く 故に楽しく」
「ああしもた あの時あれを あんなにと 反省するも 後の祭りに」
「結局は 自分が決める ことゆえに 納得すれば それでまたよし」