〇その日の吉凶がわかる日めくり
私は神や仏を余り信じない現代人だと自負していますが、68年間も生きていているのに、自分の書斎の壁に吊り下げて毎日めくる日めくりカレンダーなのに、そこに書かれている六曜や選日について、何の知識も持たず、また知ろうともしないで今日まで無頓着に過ごしてきたことを、少々恥じているのです。新年に当り書かれていることに少しだけ興味を持ち調べてみました。
日めくりカレンダーには六曜、選日、行事、二十八宿、九星、六十干支、月齢・潮の名称などが細かく記されています。六曜とは暦法の一種で、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の六星を旧暦に定めた日に配し、順次循環させて、それぞれの星に当る日の吉凶を占います。本来は古代中国の占いでした。
選日とは、古くからその日がどのような日柄であるかということから、あらゆることについて吉凶の判断をするために、意味づけをしたものです。一粒万倍日・不成就日・八専・三隣亡・天一天上・天赦日・十方暮・三伏日(初伏・中伏・末伏)の六選日があります。行事は二十四節気や年中行事、祝祭日等を掲載しています。
二十八宿は天を四つの方角と七つの宿に分け(計二十八)、各々を月日に当てて毎日の吉凶を占ったものです。九星は九星術にもとづき、五行と方位で運命や運勢、吉凶を占います。六十干支は十干と十二支の組み合わせでおこないの吉凶を判断します。月齢・潮の名称は、月の満ち欠けをイラストで表現、大潮等の名称も掲載しています。
なるほどと頷く部分はほんの少しで、大部分はまさにチンプンカンプンといったところです。でも時々悪いことが重なると「今日は三隣亡だ」などと選日の中にある言葉を訳も分からずに使っていて、三隣亡が「普請、棟上げなどは後日に災いを招く大凶の日」であることを知ると、やはり避けたほうが無難だったと、あらためて後悔するのです。また大安に結婚式を挙げたり、友引にお葬式をしないという風習は、私たちの暮らしの中に深く溶け込んでいるのです。もっとも最近は仏滅の日に結婚式を挙げると安くするというブライダル産業の悪智恵や触れ込みで、あえてその日を選んで結ばれるカップルだってあるのですから、六曜や選日も地に落ちたものです。
私の家は代々漁家だったので、暦は旧暦にこだわっていました。それは月齢によって潮の満ち引きが繰り返され、海に生きる動物たちは旧暦で生きているからなのです。潮の悪い時に幾ら頑張って漁をしても魚は獲れないし、大切な漁業道具を破損してしまうのです。旧暦は農業にも大いに関係していて、昔の人は種蒔きや収穫など、今でも旧暦こだわり納得したりしながら利用しているようです。
言い伝えや迷信などに惑わされたり、過信する必要はありませんが、暦は中国から伝来された部分が多いようで、中国三千年の歴史に基づいている部分も多いことを考えれば現代人は、せめて月齢や潮を科学的に裏づけして、もっと賢く生きるべきだと思っています。そういえば今日は小寒です。寒い。
今日の日めくりの言葉「種まかずして小判も逸歩も生える例なし」(井原西鶴)
「今年も 書斎の壁に 日めくりを 掛けて毎日 日めくりながら」
「旧暦に 基づき野菜 作ってる 家庭菜園 今年あれこれ」
「これまでに 六十八年 生きたけど 教え習わず 日めくり無知で」
「今日五日 うかうかすると 日は過ぎて 春の準備が 遅れてしまう」