人間牧場

○仁淀川流域を訪ねる(その1)

 私がよく招かれて出かける高知県は、よく雨が降るせいか大きな川の多い県です。その中でも特に最後の清流といわれる四万十川、つい最近その美しさが脚光を浴びている仁淀川、上流域に私の人間牧場に鎮座している150年生魚梁瀬杉の切り株があるであろう安田川などなど、分け入る度に大河の魅力とでもいうのでしょうか、変わらぬ原風景が懐かしい気持ちにさせてくれたり、一種のパワーを与えてくれるのです。
 昨日は仁淀川の上流域である久万高原町を通って、中流域の仁淀川町へ講演に出かけました。梅雨が明け山の端の向うに青空や入道雲が見え隠れする三坂路は、峠の九十九折の道の下に最近三千メートル級の長いトンネルが貫通し、10分近くも短縮したという話を聞いていましたが、通るのは初めてとあって楽しみにしていました。三坂路の途中から右に折れた道は高規格な道路で、まるで高速道路のような感じがしましたが、三坂馬子唄や笠地蔵の民話でお馴染みだった峠道を通らない寂しさも少しだけ感じました。

 産業廃棄物の処理場問題で揺れ、一応の終息を見た久万の町を抜けると道沿いの川は次第に大きくなり、川面に映える旧美川村の軍艦岩の変わらぬ風景に出会いました。柳谷村の中心は合併してから少し活気がなく、かつて訪ねた公民館や公民館前の宮岡ストアーのお姉さんの顔を懐かしく思い出しました。愛媛県側最後のトイレ休憩の場所であるヒメシャラでトイレを済ませましたが、私の持っているインディアンカヌーを柳谷の連中に一年間貸していたのもこの場所でした。
 県境近くに中野ガソリンスタンドがありますが、青年団活動をしていた顔見知りのご主人は、前回の補欠選挙で町会議員に当選し、今はバッチをつけていますが、今年の春の成人式に講演に出かけた折久しぶりに出会いました。いつもは滅多に客の来ないガソリンスタンドなのでガソリンを入れるのですが、今回は先を急ぐ旅だったので、横目で見ながら通り過ぎました。

大渡の大つり橋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大渡ダムの内側
大渡ダムの外側

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 発電ダムを過ぎて高知県に入ると仁淀川と名前を変え、渓の深さは一段と深くなり、はるか下に川面を見ながら走るのですが、そこここに立派な橋が架かっていて、茶畑や空と形容される山の彼方に人家を見ながら走りました。大渡橋や大渡ダムはいつ来て見ても魅力があり、時計を見ながら回り道をして橋を渡り、ダムを見に立ち寄りました。橋やダムは人間の造った文明ですが、この文明によってどれほどの人の日々の暮らしが便利になったことでしょう。
 中津渓谷の入口付近に今回の講演会の会場となるゆの森があります。ここのレストランで何年か前玉井恭介さんと二人で講演に来たことがあるし、何度か中津渓谷は紅葉のころに訪ねたことがあるのです。ゆの森の施設に入ると、フロントで顔見知りの二人の女性職員が笑顔で迎えてくれました。講演会は午後2時からなのでそれまでにお風呂に入り、食事をするよう勧められ、真昼間だというのにお風呂を楽しみました。4~5人の地元の入浴客がいましたが、その人たちと「何処から来たの?」「何しに来たの」などと言葉を交わしながら、癒された時を過ごしました。レストランでは湯上りに冷たくて美味しい水を飲み、入浴客が教えてくれた千円のゆの森弁当を食べましたが、美味しくいただきました。

  「久方に 仁淀の川沿い 訪ね来る 懐かしきかな 癒され走る」

  「ダムに橋 寄り道しつつ デジカメで 記憶に残す ためにシャッター」

  「いらっしゃい ゆの森ホテル 女性たち 笑顔迎えて くれる幸せ」

  「講演に 来たのに風呂に 入るとは これも一つの 楽しみ思い」

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