人間牧場

○福井県での思い出(その2)

 1泊2日の福井県敦賀での講演旅行からやっと帰ってきました。帰宅したのが午前0時近くだったため、福井県での思い出は、今日7月14日にこうして書き加えています。
 今回の福井県公民館セミナーの私の仕事は7月12日15時からの講義1、20時30分からの私を囲んでの座談会、そして13日の14時からのまとめの講義2でした。3回も出番がある人使いの荒い(笑い)研修会でしたが、最初の講義1は「地域の期待に応える公民館活動」~地域自立という視点を持つ支援~というテーマでした。最近どの県に行っても公民館のもやもやが目立つようになっています。それは公民館をコミュニティセンターに衣替えしようとする市町行政部局の画策です。これまで市町行政部局は地域づくりのハード面を担当し、ソフト面の地域づくりはもっぱら公民館などに任せ、ある意味住み分けが出来ていたのです。ところが一応のハード整備が終ると、財政難を理由に行政がソフト化・文化化し始め、また防犯や防災といったこれまでどちらかというと放置されていた安心や安全といったテーマに、合併や震災以降取り組まざるを得なくなり、地域づくりを行政部局が協働と参画という名の元に取り込み始めたのです。コミュニティ行政の最前線は公民館でしたが、公民館はご承知の通り教育委員会の管轄です。元々金もなく力もない、ましてや地域づくりについて明確な理念を持たない教育委員会は、教育への謁見だと思っても、首長の方針に逆らえず、公民館という教育機関を行政が乗っ取ろうとしているように見えるのです。指定管理者制度などで社会教育の指導力が衰えた公民館はそのことに強く抵抗する馬力もなく、このままでは日本の公民館が危ないと思うのですが、教育に首長がどんどん口を出す姿は、何とも危険な状態になっているのです。

プラザ萬象で開かれた福井県公民館セミナー

 公民館は元々住民の自治能力を向上させるための教育機関として、戦後の荒廃した社会の中で生まれ、戦後の民主主義の定着に大きな足跡を残してきました。教育と政治や宗教や経済とは分離をしなければならないのに、住民の最も身近な住民自治への支援という手法を使って入り込み、公民館という教育施設から公民館という教育機能や組織まで奪おうとしているように見えるのです。
 この日の話し合いでもそんなジレンマが職員の間から不満として漏れ聞こえてきました。さてこの問題をどう解決するか、それは郡市公連、県公連、全公連という全国を網羅したピラミッド型の組織が実態を把握した上であるべき姿を掲げながら、国の教育を司る文部科学省へ働きかけて正しい方向に導く以外ないような気がするのですそのためには。公民館は生涯学習の拠点、地域づくりの拠点、人づくりの拠点、譲歩受発信の拠点、交流の拠点、地域活性化の拠点、地域の安心安全の拠点となるべき力をしっかりとつけなければなりません。公民館職員の殆んどが嘱託職員となっている現状では、望むべきもないのかも知れませんが、とりわけ指導助言、指導者養成、条件整備という極めて大切な教育行政をやらなければならない教育委員会の能力が試されているような気がするのです。そこら辺を踏まえて講義1ではお話をさせてもらいました。

  「三回も 出番用意の 研修会 それぞれ違う 話し熱弁」

  「公民館 いつの間にやら コミセンと 名前を変えて 行政いいなり」

  「コミセンが 悪いと言うのじゃ ありません もっとしっかり 本質見据え」

  「研修会 持つプロセスに 関わった 多くの人いる これぞ本物」

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