人間牧場

○夕日徒然草ついに完結・・印刷・出版(その1)

 5年前、人間牧場にどでかい高知県馬路村産魚梁瀬杉の切り株で造った座卓がお目見えしました。高知県奈半利町に住み高知新聞直売所を営む、坂本利男さんのお店下の駐車場の隅で、埃を被っていたこの切り株に出会い、私の人生は少し変わり始めました。お願いしてこの切り株をいただき、物のついでにとこともあろうか、宅配便でわが家まで送ってもらいました。その後わが家の倉庫の隅にに少しの間眠っていましたが、親父がこれを見つけてチェンソーやカンナで細工を施し、下台をつけて座卓に造ってくれたのです。
 家には置く場所もなく、たまたま人間牧場に水平線の家が出来たのを機に、長男に頼んで二人でトラックに積んで運びましたが、ここでも広間の隅にさしたる目的もないまま、むしろ場所を取るため邪魔者扱いされ置かれていました。
 たまたま2006年6月、新築間もない人間牧場で開かれた過疎逆による第24回逆手塾の折、この切り株座卓の上に座布団を敷いて話したことがいい快感だったため、落語ならぬ落伍をやろうと新しい発想が沸き始めたのです。

夕日徒然草最終章「空の書」表紙

 この座卓はよくよく年輪を数えてみると、坂本利男さんから聞いた「150年生」という話を裏づけるように年輪が込み合って数え切れないほど150もの年輪を刻んでいるのです。前後して講演を頼まれ訪ねた高知県馬路村魚梁瀬の千本山で、名だたる魚梁瀬杉の銘木林立を見る機会があり、その容姿や木霊にいいようのない感動とパワーを得ていたこともあって、この切り株にあやかり落伍のネタを150話創作しようと、とてつもない発想を思いついたのです。
 一気に150話を作るほどの能力や暇はないので、とりあえず1年に30話ずつ5年間で仕上げようと計画し、それを「夕日徒然草」と題して五輪の書にあやかり、地の書・水の書・火の書・風の書・空の書と積み重ね、印刷出版ようと思いました。1冊250円で1000部印刷し、500円のワンコインで販売すれば250円儲かって人間牧場の運営費が稼げるなどと、取らぬ狸の皮算用を立てて、1人ほくそ笑んでいました。しかも例え半分の500冊しか売れなくても、初期投資の25万円さえ用意すれば、後は自転車操業のような形で出版費用を投資できるのですから、美味しい話です。

最終章を示す裏表紙の恋人岬モニュメントにしずむ夕日の写真

 早速地の書の執筆に取り掛かり、書きたい話題も泉の如く出て来て、エッセイ風な地の書は僅か1週間で執筆するという、持ち前の速さで執筆し終えました。たまたまえひめ地域政策研究センターへ農協から出向していた、清水和繁さんに相談を持ちかけ構成や校正などの全般をお願いしたのです。清水さんは快く引き受けくれて、印刷を担当してくれた今治の村上太さんと私の腐れ縁3人で、以後5年間付き合いをすることになったのです。
 最初は売れた冊数等を記録したりしていましたが、忙しさでいつの間にかそれも忘れ、水の書や火の書、風の書と進むに連れて浅学や浅知恵が暴露され、筆が進みにくい奥の深さに苛まれもしましたし、落伍を演じる話芸も中々上達しませんでした。それでも一度決めた5年間で150話の創作落伍の本の執筆は、拙文のそしりを免れませんが、何とか最終章空の書まで漕ぎつけ、昨日やっと完結・印刷・出版の運びとなりました。人から見れば何の変哲もない「夕日徒然草」という本ですが、私にとっては5年間も費やしたシリーズ本なので、労作という言葉が当てはまるようです。

  「先ず一話 それから二話と 積み重ね 百五十話を やっと完結」

  「高知県 馬路村産 魚梁瀬杉 切り株出会い 人生変わる」

  「年輪の パワーを貰い 精進す 書き読む度に 進化足跡」

  「金ないが 自転車操業 宜しきを 得たりどうにか 最終章まで」

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