〇集中講義やっと終る
1年だけダブっていますが、愛媛大学法文学部で7年、農学部で3年と、浅学菲才な私が大学で教えるようになって9年目を迎えています。法文学部総合政策学科では年間60時間を毎週1回1講でしたが、農学部では一年に4回集中講義をするのです。集中講義は長時間なので少々疲れますが、それでも年中忙しい私にとっては長期間の拘束でないため大助かりで気に入っています。
大学は夏がとっくに過ぎてもう秋だというのに長い夏休みの終盤のようですが、農学部ではこの時期を選んで色々な学科で集中講義を行なっているようで、私も昨日までの2日間一日4講をやりましたが、昨日は前日に続いて二日目で4講目の終盤午後4時頃になるとさすがに疲れて、喉が少々痛くなりました。それでも妻の愛妻弁当と魔法瓶に入れてもらった冷たい麦茶に助けられ、今年も無事終ることができました。
日ごろ一般社会人を相手に話すことが多い私にとって、大学生を相手に話す講義は雰囲気が随分違ってどことなく違和感を感じました。一般社会人はおかしければ笑うし、同調すれば首を振るなどして、話への反応を示すのですが、学生は無表情で聞き入ります。笑いを取るような話のくだりで笑わないと、話す方のテンションが上がらず、少し場違いな話を下のではないかと、話しながら反省するのです。
また講義の時間に遅れても平気で教室に入り、座って講義を聞き始めるのです。今回は15人程度と少人数だったため遅れてきた学生は女性1人だけでしたが、私はあえてレジメの資料を渡しませんでした。「遅れてくるような人にレジメはありません」と少しムッとして突っぱねましたが、2回生ならいざ知らず4回生の学生だったので、「時間が守れない人間は社会に出て困ります。正直者が馬鹿を見るようなことはできません」と、結局一日目はレジメを渡さず、パワーポイントに映された資料で受講させました。
何年か前山梨県北杜市に住む観光カリスマで友人の船木上次さんに頼まれて、山梨学院大学へ講義に出かけました。広い大会議室での講義には300人近くが集まりましたが、この時は私の講義が始まっているというのに、時間が過ぎても遅れて学生が入って来るものですから、講義に集中できず、多少切れた私は係りの人にお願いして開講10分後、入り口の扉に中から施錠してしまいました。私の講義中扉の外から戸を開けるよう扉を叩く音がしていましたが、遅れても平気で入ってくる学生やそれを許してきた先生にも問題があると思い、講義が終った後大学の責任者に、「このようなことを許すといつまで経っても大学は二流三流の大学から抜け出せない」と提言しました。その後どうなったかは知る由もありませんが、今でもこのことは私にとって忘れられない思い出なのです。
帰宅後妻から「二日間の講義疲れたでしょう」とねぎらいの言葉をかけてくれましたが、妻は「どうだった」といつものように感触を聞くので、遅れてきた学生のことや、「反応が鈍いことは高齢者以下」などと話してやりました。大学は単位を取らなければ卒業できません。また単位修得には講義を聴いたり試験も受けて、関門を一つ一つ越えて行くのでしょうが、せめて講義は時間に遅れることなく、聞く気になって聞いて欲しいと願っています。講義終了後受講した学生の名簿に評点を採点記入して学務課へ諸々の資料を提出し、二日間の長かった集中講義を終え大学を後にしました。
「遅れ来る 学生見るなり ムッとして レジメ渡さず 諭して講義」
「学生は 時間守れる 習慣を 今のうちから やらねば困る」
「先生の 後輩ですと 名乗り出る 水産なのに 農に席置く?」
「トイレにて 小便同席(笑い) 学生が 面白講義 褒めてくれたり」