〇えひめグリークラブ定期演奏会に招かれて
一ヶ月ほど前、水産高校の先輩で友人の玉井恭介さんから2枚のチケットが送られてきました。封筒の中にはいつもながら達筆な筆文字で、玉井さんが所属活動しているえひめグリークラブの定期演奏会の案内チラシも入っていました。でもこのところ土日といわず毎日忙しい日が続いて、定期演奏会の予定されている9月25日の夕方、どうしても出席できなくなってしまいました。玉井さんにはこれまでにも随分世話になっているし、ましてやチケットまで送ってもらっているので、正直な話を相手に伝え夕方4時から夜8時までスケジュールを空けてもらいました。妻を誘い開演午後5時ギリギリに市民会館へ到着し、中ホールへ入りましたが、既に会場は満席で、空いているのは最前列のみでした。勇気を出して妻と二人で最前列に並んで座り、生まれて初めて男声合唱団の迫力のある歌を聴きました。
ステージは4部に別れていて、第一ステージひめグリでは玉井さんが作詞し、三枝成彰さんが作曲したハワイ沖えひめ丸海難事故鎮魂歌「希望海」や「故郷」も歌われ、母校である宇和島水産高校の悲しい過去の事故に思いを馳せながら、久しぶりにこの歌を聴き、柄にもなく少しウルウルしてしまいました。
その後第2ステージ荘厳ミサ、第三ステージGOSPEL、第4ステージ柳河風俗詩と、絶えずBASSの場所に陣取る玉井さんの歌う姿を見ながら拝聴しましたが、白いスーツも、黒いスーツも、またワイシャツ姿もとてもダンディで、初老人の奥ゆかしさや知的さを羨ましいほど見せ付けてくれました。横に座って聞き入る妻も、勿論男声合唱団の歌声を聴くのは初めてでしたが、感嘆の声しきりでした。
玉井さんは歌も絵も書も陶芸も、また一緒にやっている五行歌も何でもこなすマルチ人間です。歌も絵も書も陶芸も、また五行歌も苦手で無芸な私にとって玉井さんは憧れの人なのです。趣味の世界はいくら頑張っても上達する可能性は低いのです。私は趣味の世界を鼻から諦めていますが、玉井さんはこれからも修行を積んで私の視界から消えて行くほど上達するようで、何とも羨ましい人なのです。
唯一私はハーモニカが下手糞ながら吹けるので、勝ち負けではありませんが、もう少し修行をして玉井さんに負けないような腕前にしたいと思っています。何はともあれ今日のコンサートは私たち夫婦の心を少し揺さぶってくれたことは確かです。
「三十人 男集まり それぞれの 表現豊か 歌を歌いて」
「ああ俺も 今度生まれて 来る時は 歌が歌える ようになりたい」
「白や黒 スーツ姿も お似合いで 初老ながらも しゃんと背筋が」
「腹の底 大きな声を 出しながら 次から次へ 口パク歌う」