○生きていたミツバチ
寒い冬もそろそろ終わりに近づいてきました。雑草は偉いものでそのことを知ってか知らずでか、ぐんぐん地下茎と新芽を伸ばし始めていて、日当たりのよい場所ではもう足にまとわりつくように伸び始めているのです。冬の間すっかり音沙汰もなく、私のミツバチの師匠である西予市野村町山奥組の井上登さんに、先日佐賀県で開かれた全国大会同行の折、ミツバチの動向について相談しました。井上師匠は私の心配を他所にあっけらかんとして、「冬は休むものだから多分大丈夫」と太鼓判を押してくれました。
それでも心配をしていましたが、昨日人間牧場へ出かけた折目を凝らして見てみると、どうもミツバチが出入りしているようなのです。嬉しくなってその様子をデジカメに収めてきました。この写真を見た方は「えっ?、何処にミツバチがいるの?」と不思議がるでしょうが、巣箱の左隅に出入りするミツバチが5~6匹見えるのです。察するにこのところの陽気に誘われて、人間牧場に咲いている梅林で蜜を集めているようなのです。
巣箱に入れられてはるばる遠いこの人間牧場へ、野村町からミツバチがやって来たのはちょうど一年前の2月11日でした。ど素人の私がミツバチを飼うという話をした時、快く相談に乗ってくれた井上さんは用意した2つの巣箱に蜜蝋を塗り、巣ミツバチの入った巣箱を置いて帰りました。その後別の箱に分封してその数を増したものの、スムシなどの被害で結局は巣箱2個だけの採密でしたが4升も蜂蜜が採れ、おもしろ教室の子どもたちも様々な経験を学んだのです。勿論初めての経験だった私もミツバチのことについて多くのことを学んだ一年でした。
私が日本ミツバチを飼おうと思いついたのは、人間牧場にやって来る子どもたちとわが長男が、ミツバチを飼いたいという一言からでした。その言葉につられ木下さんの紹介で高知県馬路村の農家で巣箱を貰い、井上さんと出会って実現したのです。紆余曲折はありましたが、日本の各地からミツバチが消えつつあるという話にはショックを受けました。その原因は酸性雨、電磁波、異常気象、外敵、病気の蔓延などがあるようですが、いずれもまだ解明されていないようです。でも日本の山々が杉やヒノキなどの人工林に覆われて、日本ミツバチが山を下りなければならなくなった自然環境の変化は、サルや鹿や猪などが山里に出没するようになった原因と何処か共通しているようにも思われるのです。野生動物が住みづらくなったなった日本の自然環境を、これからもミツバチ飼育を通してもっと学んでゆきたいと思っています。
「ミツバチが 巣箱出入り する姿 冬を越したか お前は偉い」
「この箱の 中でミツバチ 何をして いるのだろうか 想像広がる」
「ミツバチは 正直者だ 暖かく なれば戸外に 働き出かけ」
「人間の エゴが作った ツケ多い 元に戻すは 容易じゃないな」