○歴史的・文化的資産を活かしたまちづくり②
300年もの間、地元の人に守られてきた多久聖廟と時代を超えて人々の心を育んできた孔子の教えが息づく街多久市を訪ねました。「子曰く、道に志し、徳に拠り、人に拠り、芸に遊ぶ」。平たく言えば「人として正しい道を踏み行うよう心がけ、人格を磨け。徳の実践はすべて仁をよりどころとして、その上で豊かな教養を身につけ悠々と生きる、これが人生の王道である」と、いただいた市勢要覧の座談会のページをめくれば、含蓄ある言葉が並ぶ中に、横尾俊彦市長さんの顔写真とプロフィールを見つけました。松下政経塾第一期生だそうで、開会式や夜の交流会にご挨拶をいただきましたが、ウイットに富んだ素晴らしいお話でした。わが年輪塾の塾生である兼頭一司さんもご存知の方だけに、いろいろな話に花が咲きました。
(あいさつする横尾市長さん)
(趙勇(ちょうゆう)さんの見事な楊琴の演奏)
多久聖廟は国史跡および重要文化財になっています。パンフレットの説明を引用して紹介しておきます。
「敬は一心の主宰、万事の根本にして、万世聖楽の基本たり」。多久四代領主茂文は、教育を振興し、敬の心を育むため、1708年多久聖廟を建てました。その思いが、「文廟記」に記されています。また茂久の多久を四霊(麒麟・鳳凰・龍・亀)の住む理想郷にしたいという思いが、聖廟の彫刻や絵などに表れています。聖廟内には孔子や顔子・曽子・子思子・孟子の像が安置されており、年2回(4月18日・10月第4日曜日)、孔子様の四配を祀る伝統行事「釈菜」が行われています。
(多久聖廟)
東原しょう舎は、多久茂文が、多久を治めるためには教育が必要であるとして、諸藩に先駆け開いた学問所(1699年)。漢学や和学、武道を学ぶ場で、学ぶ意欲があれば武士に限らず学ぶことができました。幕末から明治にかけて日本や郷土のために尽くした人物を数多く輩出しました。現在の東原しょう舎では、各種研修施設として日帰り、または宿泊利用ができるようになっています。
東原しょう舎での交流会や夜なべ談義は12時近くまで続きました。和室で枕を並べて合宿したことや、いびきの大合唱で寝不足になったことも、過ぎてしまえばいい思い出となりました。論語の教えを学び実践するため、スリッパを並べることも極力実践しました。
東原しょう舎に来る子どもたちから、「ヨン様」と呼ばれニッコリ微笑む林口常務さん。「多久の子どもが元気になれば多久は元気が出るのだ」という熱い思いでアイディアを生かし、次々とユニークな事業を展開しています。お話しするときはユーモアたっぷりで、前夜祭で初めてお目にかかり名刺を交換しましたが、素晴らしい方でした。
「異郷にて 知り人出会い びっくりす 世の中狭い 互い感激」
「この市長 ただものじゃない 直感す 器大きく 学ぶことあり」
「三百年 時空を超えて 受け継ぎし 不易なものの 偉大さ知りぬ」
「孔子様 お初にお目に かかります 今後精進 お守りください」