shin-1さんの日記

○一人の人間でこうも変わるものなのか

 「お前がいなかったら双海町の夕日もなかっただろうが、一人の人間で町はこうもが変わるのか」と、町の余りの変貌に戸惑いの言葉をかけられた数年前のことを思い出しました。事実夕日でまちづくりを始めた20年前と今を比較してみると双海町は大きな変貌を遂げました。それは町長さんはじめ多くの人の力でなし得たことで私一人の力ではありませんが、今の変化が悪い変化に変わった時は多分「あいつさえいなかったらこんなことにはならなかった」と批判の矢面に立たされるのは自分であると、覚悟を決めて暮らしている今日この頃です。

 昨日村づくりコンクール表彰式の記念講演に招かれ宮崎県宮崎市を訪れました。会場となる県源ホールが県庁の近くだったものですから、今話題の東国原知事の居城宮崎県庁を訪問しました。先日訪ねた和歌山県庁や愛媛県庁と同じく歴史を感じさせる県庁本館を前に度肝を抜かれたのはまず県庁の設えです。シックな県庁本館は玄関にサボテンや花、それに噴水と、まるでテーマパークのようなのです。そしてひっきりなしに入ってくる観光バスからは胸に観光ツアーのバッチをつけたおじさんやおばさんが下りてきて、盛んにカメラで撮影しているのです。聞けば知事がテレビに出て「どげんかせんといかん」などと流行語をいい、マスコミに登場するものですから、それが社会現象となって、今では県庁はれっきとした観光スポットに変身しているのです。折りしもプロ野球が春のキャンプに入っていて、旅行業者はちゃっかり東国原知事の人気にあやかって県庁とキャンプの二枚看板で宮崎を売りまくっているのだそうです。



 私は時間があるので県庁本館を見学しました。まず本館入口には知事の等身大の人形写真パネルが立てられていました。これはアイディアで知事がいなくてもちゃんとPRできるのです。

 本館は重厚な造りになっていて知事室に通じる階段や廊下、それにドアなどは「県庁」という雰囲気でした。




 「お客さん一枚撮りましょうか」、いきなり観光客に声を掛けられ、恥ずかしながら知事さんとツーショットです。さて「男前はどっちでしょう」。はい知事さんの知名度を考えて私は一歩下がって写真に写りましたので「男前は知事さん」でした



 前県知事が逮捕された不祥事の頃県庁を訪ねましたが、そこ頃の県庁は硬く門を閉ざしているような、火の消えた存在でしかありませんでした。ところがどうでしょう。県庁の横にある物産館はツアーのコースに入っていることもあって連日満員で、私が訪ねたまだ早い午前中の時間になのに沢山の観光客が列をなしていました。

 「今日は平日でお客の数が少ない」と店員さんは言っていましたが、まるで都会のお店のようでした。観光客のお目当ては東国原知事の似顔絵シールが貼ってる焼酎や地鶏の燻製など様々ですが、ここにも知事の顔がブームとして反映されていて、知事さんの似顔絵シールがあるだけで中身は別として売れるのだそうです。

 それにしてもブームとは恐ろしいものです。宮崎の人に聞けば今の段階では知事さんの功績は誰もが認めていますが、「今の宮崎は知事の人気に助けられています。これは地震のようなもので、いずれ人気が下火になると必ず揺り戻しが来るでしょう。それまでに本当の実力をつけないと」と気を引き締めていました。

 県庁に通じる楠木の並木も、県庁の敷地内にある大きなガジュマルの木も、東国原知事の人気に浮かれて誰も見向きもしませんが、私はその木の存在が県庁という景観を形成しているような気がするのです。砂漠に建つ楼閣県庁にならないようくれぐれもご用心あれ。

  「行ってみて 始めて分る 大ブーム 今や県庁 観光スポット」

  「東国原と いう名の知事が いたっけな どぎゃんいわれる 二十年後は」

  「似顔絵を 書いた名刺を 手渡すと 知事に似てると 笑われました」

  「特産品 知事の似顔絵 似つかぬに 便乗儲け 狙ってどれも」

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shin-1さんの日記

○宮崎県の朝日が見たくて

 私の町は日本一夕日が美しい町と自認していますが、西瀬戸の水平線の彼方にしずんだ夕日はどこかの朝日になって昇るのですから不思議です。その不思議さからか夕日に深い思い入れを持っているのに朝日にも憧れているのです。そんな思いもあって、豊後水道から太平洋に面した宮崎県の海から昇る朝日を見てみたいという思いに駆られ、二日前の夜わが家を車で出発しました。車の中で日替わりとなり午前1時20分八幡浜発の臼杵行きフェリーに乗船しました。さすがにこの時間の乗船はトラック便が殆どで、上昇者は僅か3台で、船室はまるで貸切のような状態で散閑としていました。所要時間は2時間20分なのですることもなく横になってうとうとと眠り、気がつけばもう豊後水道を横切って臼杵の港です。この港は本匠村へ行ったり息子の遊学地を訪ねたり、何かとよく使った場所なので、道筋は知っているつもりでしたが、夜のことでもあるのでカーナビに目的地である宮崎県庁を入力し、その支持に沿って走りました。カーナビは山道を越えて国道10号線に入って間もなく山周りのコースを選んいて、驚きつつも10号線を外れて大分県境を越え延岡まで出ました。

 カーラジオは周波数の混乱で電波をうまく拾うことが出来ずガーガーいっていましたが、そのうち左手に太平洋が黎明の中に見えてきて、懐かしい海の香りが漂ってきました。

 さあ今回の旅のお目当てである朝日をどの場所で見ようか、思案しながら走りました。夕日に比べ朝日は一瞬の出来事なのでシャッターチャンスはを逃すと上手くゆきません。途中ランドマークで朝日の美しい場所を示す道路標識を見つけましたが、時間が早く思い切って南下しました。ここが限界と水平線辺りが明るくなったので、海からは距離があるもののルミナスパークと書かれた農業公園へ入り、カメラを構えました。時計を見ると午前7時9分でした。何て美しい日本の夜明けなのでしょう。思わず体内に太陽がくれたパワーのような気力がみなぎるのを覚えました。

 冬枯れの箒を逆さにしたようなケヤキの木の小枝の向こうに朝日が昇りました。感動的な一瞬です。眠い目を擦りながら走った甲斐がありました。私の下手糞なカメラ技術でもこの2枚の写真はいいアングルな出来栄えだと自分で自分を褒めたいと思いました。

 道路沿いに設置されたデジタル温度計は外気温0度と示していました。カーラジオから流れるニュースによるとこの冬一番の冷え込みらしく各地で強風が吹き荒れ積雪も増えているとのことでした。宮崎は東に九州山脈を背負っているため晴れの日が多く、今日もラッキーだったと思いました。

 しばし幽玄の世界を堪能した私は、さらに気を引き締め直して国道10号線を南下し、宮崎市内へと入りまたが、早朝なので海岸線へ迂回してそこら辺をドライブしました。何処までも続く松並木の中にシーガイアやホテル、植物園など近代的な建物が所々に立っていて、自然にマッチしていました。経営難がささやかれた施設の運営はその後どうなっているのか気がかりなことも去来しましたが、どこも早朝のことなので入口はチェーンロックされて一般人の侵入を拒んでいました。仕方なく宮崎県庁を目指し再び走り始めました。


  「昨日見た 夕日の顔を 見たくなり 車走らせ 朝日を拝む」

  「ルミナスと 横文字書いた パーク入り 朝日写真に バッチリ撮りて」

  「朝日見て 何がそんなに 面白い 人尋ねるが われ関せずと」

  「太陽の パワーいただき 意気揚々 敵陣乗り込む そんな心境」

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