shin-1さんの日記

○雪の降る夜は楽し飲み会・横手は楽しい②

 南国四国でこれほど雪が降ると交通は麻痺し、仕事も集会も速く切り上げて寝るのが普通ですが、やはり雪国の人たちは熱く、集会が終り食談会になると飲むほどに酔うほどにみんな元気になってきます。この光景はまるで四国高知県人のようなしたたかさです。私も舩木さんも酒は飲めませんが話しを飲み込む術を心得ていて、この日は降り積もる雪に足をとられながら、結局は3次会まで付き合って最後には自慢の焼きソバまで食べさされてしまいました。お陰で腹が張り、体内はウーロン茶でダブダブ、眠れない一夜を過ごす結果となりましたが、それは多分人の心の温かさや、この町を何とかしたいという人々の想いだったと思うのです。

 この日の夜、2次会に繰り出した店は発酵食品でもてなす小粋な「蔵ら」という日本料理の居酒屋でした。雪国らしい造りの店で、観光物産課の職員がこの店を選んだのは、発酵食品でまちづくりが出来ないか考えたいるからだとピンときました。燻りがっこやハタハタの麹漬け、カブ菜の麹漬け、お味噌、勿論納豆も日本酒も発酵食品ですから、一事が万事発酵にこだわっているのです。ヨーグルトなどを含めて発酵食品が人間の健康に良いことは既に言われており、市長さんがこれらの食品を日本的な横手の食文化だと着目している話はよく分るのです。北国の風土が育むこれらの食文化はまさに日本人が忘れてきた物で、このままだと洋風化の勢力い押され、なくなる危険性さえあるのです。華やかなイベントも分りますが、私的には横手の市民が長年育んできたこれらの生活文化を掘り起こせば、これだけでも日本中の注目を集めること請け合いです。

 横手の焼きそばも有名だと聞いていたので食べましたが、発酵文化に比べると薄っぺらいものです。でも若者には発酵文化だの言っては見ても、こんな食べ物の方が好まれるのでしょう。ここにまちづくりの難しさがあるのです。生活文化だとかを大上段に振りかざしあまりアカデミックなテーマに固守し過ぎると、若者は去って行くものです。私も食文化たる郷土料理であるじゃこ天を串に刺して歩きながら食べるという若者向きに替えましたし、夕日の望遠鏡ちくわ、夕やけソフトクリームや夕・日・日コーヒーなどを開発して若者に受け入れられました。焼きそばで若者や不特定多数の分裂型消費者を集客して風評効果を生み出し、いい消費者と学習型消費者を相手に発酵文化を高めてゆけば、横手のまちづくりは成功するかもしれません。いい消費者5パーセント、学習型消費者15パーセント、精神分裂型消費者55パーセント、無関心消費者25パーセントという消費者をどう取り込むか、知恵の出しどころです。

 三次会で出かけた飲み屋で、来年3月に退職するという課長さんに出会いました。この方はマジックが得意で、あっという間にその場に居合わせた人を引きつけます。舩木さんはもう随分前からの知人のようでしたが、舩木さんの提案はこの課長さんのマジックにヒントを得て、かまくらの期間中にマジシャンを集めてマジックショーなどをしたら面白いと、盛んに仕掛けていました。私はかまくらという日本の文化に馴染ませるには動揺コンクールなどもいいと思いました。私の吹くハーモニカはまさに雪とのコラボレーションにピッタリだと直感しました。この課長さんは外国旅行がお好きとか、広い視野を持っているしマジックという芸を持っています。これだけでも一私人になって下野したら大きな戦力になるはずです。彼の未来に乾杯し、ぬかるんだ雪に足をとられながら午前様となった夜道をホテルへ急ぎました。

  「東北の 冬の夜長に 盃を 酌み交わしつつ 夢を語りぬ」

  「これ食べて あれも食べてと 矢継ぎ早 発酵食品 次から次へ」

  「トランプで いきなり人が 集まりぬ これぞ究極 心理を掴む」

  「風評を 被害にするか 効果する どちらを選ぶ あなた次第で」


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shin-1さんの日記

○今年最後の県外出張はかまくらで有名な秋田県横手市①

 「よく行く所があるものよ」と妻が呆れるほどに、今年も日本全国狭しと東西南北を駆け巡りましたが、年末も押し迫った17日から今日まで、最後の県外出張となるであろう長い旅をしてきました。今回の旅の目的地はかまくらで有名な秋田県横手市と、これまた最後の旅に相応しい遠くて、しかも思い出に残る旅となりました。

 今回の旅はのっけから私が列車に遅れるハプニングからスタートしました。観光カリスマ百選の一人である山梨県清里の舩木上次さんと、はやて5号で一緒に行こうと約束し彼は東京発、私は新宿から大宮まで出て、大宮から新幹線で落ち合う計画でした。しかし私がその列車に乗ることが出来ず一便遅れたため、結局は1時間も遅れて北上駅での合流となりました。目的地が秋田県横手市なのに、秋田新幹線で大曲まで行かず、北上駅まで担当者に迎えに来てもらう算段なのです。四国から遠く離れた東北地方のことゆえ土地勘も分らぬまま、相手たる市役所と交わしたメール連絡を頼りに列車に乗り込み、北上駅へ着きました。

 駅へはリムジンではないもののハイクラス?な車が待っていて、舩木上次さんと供の小林さん、市役所の高橋さん、佐藤さんに加えほくとう総研の青木さんと清水さんと中々賑やかなお出迎えでした。早速高速道路をひた走り横手に向かいましたが、北上から見える山々は既に白い雪をかぶり、横手が近づくにつれて道路の沿線にはかなりの積雪があって、いかにも重そうなボタン雪が音もなく降り続いていました。雪には縁遠い南国四国に住む私にとっては珍しい光景であり、流れては去る雪景色に目を奪われ、旅の疲れなどそっちのけで戸外の風景に見とれていました。

 やがて昼もとっくに回った12時30分に目的地の横手セントラルホテルに到着し、阿部産業経済部長さんの出迎えを受けご一緒に昼食をいただきました。列車に遅れ朝食を食べるのを忘れていたため、美味しい料理に舌鼓を打ちながら、しばらくの間面談し、後段で予定されているシンポジウムの出演者との打ち合わせ臨みました。パネラーは全員男性でしたが、コーディネーターは湯沢青年会議所の松田悦子さんというやり手で素敵な理事長さんでした。

(手前は観光カリスマの舩木さん、真ん中はJR秋田支社営業部長の石塚さん、向こうは湯沢青年会議所会長の松田さん)

(壇上に上がってシンポジウムをした現地パネラーの方々)

 前段は私と舩木さんの基調講演がそれぞれ1時間ずつ振り分けられていて、プログラムでは私が最初の出番でしたが、東京高輪のプリンスホテルで開かれた観光カリスマシンポで私の話術に痛めつけられた苦い経験を持っている舩木さんのわがままを通して舩木さんが最初にお話しました。彼の話はこれで3度目ですがいつ聞いても理路整然としていて、田舎物の私など非ではないと思うのですが、会場を笑いの渦に巻き込む術は不真面目な親父ギャグを連発する私に軍配が上がるようです。舩木さんの話を聞きながら18年間もフィールドバレエをやり続けている底力やポール・ラッシュの教えに導かれた高い見識を思うのです。

 そこへ行くと私の話はまるで田舎芝居のようで見劣りするものです。でもそれはそれとして、私も苦節20年、私なりに頑張って乗り越えて実績を上げてきたのですから、何ら臆することはあるまいと、最近磨き始めた話芸を披露しながら、丁度一時間お話しました。舩木さんの関東弁と私の関西弁のコントラストも良かったのか、会場の反応はとてもよく返って来ました。

 少しの休憩がありトイレに行きましたが、トイレの中で名刺交換が始まり、その後の食談交流会には100枚持参した名刺がすっからかんになってしまい、今年の県外出張の最高を記録しました。「名刺もそんなに安くはないのだから、安売りしないように」と、またマネージャーのような振る舞いをしている妻に叱られそうです。

 この日のテーマは観光でしたが、合併して10万人を超え秋田県では秋田市に次いで2番目の人口規模となった横手市には北国特有の素敵なイベントが沢山あり、これまで近隣市町村で自慢的に保存されてきた伝統が一つの街に集約されたような感じがしました。しかし余程これらの活用を上手く考えないと、大が小を潰して行きはしないか少し心配になりました。点を線で結ぶことやネットワークなどと言葉では簡単にいえても、資金的援助や情報的援助、人的援助がなければ、人口減少や高齢化に歯止めがかからない現状では厳しいものがあるようです。



(看板に偽りあり、観光カリスマ2大巨匠特別講演会の看板)

 それにしてもこの日の謳い文句の「観光カリスマ二大巨匠」とは大袈裟で驚きました。二大巨匠とは舩木さんと私だと知り船井さんと私は顔を見合わせ思わず大笑いをしてしまいました。果たして舩木さんと私の話を聞いた横手の人は「看板に偽りあり」と今頃感じているに違いありません。これを後の祭りというのでしょう。

   「ポスターに 二大巨匠と あるを見て 偽り看板 笑い冷や汗」

   「俺の町 寒いといっても まだ十度 やはり北国 雪やこんこん」

   「百枚の 名刺なくなり ギブアップ 人が恋しい 雪の降る夜は」

   「汽車遅れ ギリギリセーフ 間に合った 故に話は 思いをこめて」

 


(観光カリスマ百選の舩木さんの講演)
(聞き入る参加者)

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