shin-1さんの日記

○来たいのに来れない人と来なければならないのに来ない人

 集会は様々な団体や個人にお願いし人を集めるのですが、中には来たいのに来れない人がいると思えば、来なければならないのに来ない人がいるなど様々です。

 今日の講演会を前に一枚のはがきが私の元に届きました。綺麗な絵葉書には「今日の講演会をまちの広報で知りました。行きたいのですが息子の学校の学芸会があり、たとえ行ったとしても終わりの5分くらいです。仲間にちゃんと話を聞いて伝えてねと約束しました」と書いてあるのです。

 一方役場へ勤めている旧友から一本の電話が携帯に入りました。「今日は久々の天気なのでみかん収穫に妻と二人で畑に行きます。本当は役場職員なので行かなければならないところなのですが行けません。悪しからず」と言うのです。

 私はこの二人の意味を照らし合わせて考えてみました。ハガキをくれた普通の主婦にとって講演会に参加する義務はまったくありません。むしろ悩むことなく息子の学芸会に行くべきでしょう。片や役場職員も日曜日なので講演会に参加する義務はまったくないのですが、役場職員である自覚と積極性があったら参加する方が賢明かもしれません。午前中の講演会なので昼からみかんの収穫だって出来るかも・・・と考えるのは私の勘ぐりでしょうか。

 講演が佳境に入った頃、見覚えのある主婦が一人会場に入ってきました。そうですあのハガキをくれた人なのです。彼女は明らかに急いで来たような雰囲気で一番後ろで立ったまま私の話を終わりまで聞いていました。そうです。彼女は学芸会を終えて来てくれたのです。事務所で講演の後のお茶をいただいて見送りを受け、駐車場に行ったら彼女は寒風の中で私を待っていてくれました。嬉しかったです。本当は抱きしめたかったのですが、人目もあるので止めましたが少し目頭が熱くなりました。

  「来たくても来れない人あり講演会お役所仕事と昔言われた」

  「吉本と同じ笑いが会場に木霊す話涙流して」

  「あちこちに手を振る人あり講演会ふんどし締めて話さなければ」

  「入れ歯落ちそっと差し込むおばあちゃん私だけしか見えぬ裏技」

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shin-1さんの日記

○原子力と源私力

 今日は久しぶりに四国で唯一原子力の町である伊方町を訪ねました。生涯学習講演会に招かれたのですが、私の町から海岸線の夕やけこやけラインを走り、三崎半島根元にあるゴゼ峠の長いトンネルを抜けると、何と1時間程で着きました。かつては国道197号、別名イクナ国道といわれた難所も頂上線とトンネルの開通によって随分近くなりました。

 このところの寒波で紅葉は葉っぱを落として寒々としていましたが、名残のツワブキや野菊が咲いていました。

 もう10年も前のことですが、私は伊方町の公民館大会に招かれお話をしましたが、その時「伊方町原子力取ったらタダの町と言われないよう努力してください」とお話したら、当時の町長さんにこっぴどく叱られたのを思い出しました。「町外から来て、しかも役場職員の分際でこんな発言をするとは何事か」とのことでした。私も反論したのですが平行線のままでした。私の言い分は「言われないように」に重きを置いたつもりでしたが、若かったのでしょう、舌足らずだったと今も反省しています。

 今日の話は原子力を源私力に変えるという話をしました。「源私力」はレ点をつけると「力の源は私である」という意味です。合併によって人口が増えたような錯覚を覚えがちですが、一人が1馬力だったら普通の町です。でも一人が2馬力か3馬力持ったら2倍、3倍の人口規模に匹敵する町になるというのが私の持論です。全国にはそのような馬力ある町がいっぱいあるのです。今日の会には町長さんも同席してお話を聞いていただきましたが、かつて青年団活動を共にした同士だけに叱られることもなく熱心に私の話に耳を傾けてもらい、無事役目を終えました。

 伊方町は田舎の町でありながら原子力発電所の恩恵もあってか立派な庁舎、立派な生涯学習センターが建っており、町の入り口にはコンビにまで出来ていました。私が常々述べているようにその町のレベルをテストすれば「①人が集まり時間が守れあいさつが出来るまち。②公衆トイレの綺麗なまち。③まちの入り口から出口まで綺麗な花が咲いている町。」の三つ全てにまあまあ満足いくいい町でした。

 今年はみかんが安いと控え室で出会った人も言っていましたが、みかんを文化に変える努力がこれからの佐田岬半島を活性化するキーワードになりそうです。

  「原子力文字を変えれば源私力馬力を集めていいまちつくろう」

  「日本一富士の山だと思いきや余り高くて寝かす半島」

  「モグラより太いトンネルくり貫いて平家の谷は寂しかりけり」

  「双海出て峠登れば二海あり下に二見の家並み見えつつ」

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shinn-1さんの日記

○母の写真

 母が亡くなったのは2001年10月4日のことでした。肺がんと分かってから約10ヶ月、父と二人で穏やかな余生を送っての旅立ちでしたが、最近父の隠居に母の写真が何枚か飾られている中に、奇妙なのを発見しました。それは母存命の皐月の頃に写した皐月咲く隠居の風景ですが、その隠居の窓を切り取ってそこへ母のスナップ写真をはめ込んでいるのです。最初気付きませんでしたがあたかも母が皐月の花を愛でているように見えるのです。その発想に驚くやら感心するやら、ただただ敬服しています。

 人は身近なものをなくして始めてその存在に気付くのでしょうが、亭主関白だった父の場合も痒い所に手の届く母の存在は余りにも大きかったに違いありません。

 私にとっても妻の存在は大きいはずなのに、側にあるがゆえにその存在の大きさには気付いていないのが正直な所です。もし仮に私が父の立場になった時果たしてそんなことが出来るだろうかと考えましたが、そんな心からなる愛し方は出来ないような気がしています。

 たった今、一間置いた台所から「お父さーんご飯ですよ」と妻の声、「ちょっと待て、今大事な所じゃけん」とブログを作成している私、「私は用事があって出掛けにゃあならんので早く食べてください。片付きません」と妻、「も少し待てと言いよろうが」と私反論、まあこんな具合に口喧嘩ならぬ口相撲をとって日々の暮らしが成り立っています。妻も私も分かっちゃいるけどやめられない自分の主張を繰り返しています。でも正直、相手の立場に立って考えるような出来た人間にはまだ成長していないのです。でもでもせめて父の写真に登場する母への想いのように、少しずつ方向転換して行きたいと思っています。

  「この写真母が窓から花見てる父の想いが伝わるように」

  「隠居家の居間に座りて父ポツン母の写真と今日も二人で」

  「十円を落とせば音に振り返る千円札だと落とし気付かず」

  「母の夢見たと親父の嬉しそう話す言葉に安堵しつつも」

 

 

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shin-1さんの日記

○私のサイン

 私はこれまで共書を除くと自著4冊の本を出版しています。最初の本は10年間で240号もの町の広報をたった1人で作りましたが、広報の巻末に「こちら編集局』というコラムを書きました。広報マンを終えるに当ってまとめてみようと「町に吹く風」のタイトルで出版しました。当時私の年齢は42歳の厄年でしたからもう19年も前のことで、その本は残部もなく絶版となっています。その後55歳で「ミレニアム2000年その日私は」56歳で「昇る夕日でまちづくり」、57歳で「今やれる青春」と足早に出版を続けていますが、肝心の資金や整理が追いつかずまだ3冊分の原稿が未出版のままなのです。

 本を出版してその本が多くの人に読んでもらえる幸せは存分に味わって来ましたが、出版の度に私を悩ませるのは著者のサインを求められることです。そんなに有名な、いや無名な私にとってまるで有名人のようなサインは出来ませんから、最初は丁重にお断りしていたのですが、3000部売れ2版目を出した「昇る夕日でまちづくり」ではそんなわがままも通らず、筆不精や乱筆も省みずサインをするようになったのです。

 サインの末尾に自分の名前を書きますがその下に落款印を押すと黒文字と朱肉が絶妙のバランスで配置され、それなりに見えてくるから不思議です。

 サインは相手の名前、自分の好きな言葉、日付、自分の名前を書くよう求められますが、多いときは10人もが列を作った時などは、10人全部に違った言葉を書くパフォーマンスをやって、アッと驚かせたこともありました。また30冊もの送付本に全てサインを求められたこともありました。

 本好きの人は必ずといっていいくらいサインを求めてきますが、私の本棚にも作者の署名の入った本が何冊か置かれています。再読した時などはその風景が思い出せて嬉しいものです。でも今でも自分のサインには自責の念に駆られています。「昇る夕日でまちづくり」の出版間もない頃は新聞紙によく練習をしましたが、一向に上達しない自分に腹立たしく途中で止めてしまいました。今は綺麗に見せようではなくありのままの自分を書こうと肩の力を抜いて、あくまでも自然体でやっています。ちなみに私の好きな言葉で好んで書く言葉ベスト3は、「人でも仕事でも愛する所に集まってくる」「逢う人も逢う人もまた福の神」「ボウフラも人を刺すよな蚊になるまでは泥水すすり浮き沈み」のようです。

  「恥ずかしや下手が自慢のこの腕にサイン求める人がいるとは」

  「サイン書く姿は格好いいけれど出来た文字見て×○△・・・・」

  「文届くサインした本送ってと書籍扱い覗かれヒヤリ」

  「文字下手に今度生まれて来る時はあんな字書ける腕の男に」

  

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