○来たいのに来れない人と来なければならないのに来ない人
集会は様々な団体や個人にお願いし人を集めるのですが、中には来たいのに来れない人がいると思えば、来なければならないのに来ない人がいるなど様々です。
今日の講演会を前に一枚のはがきが私の元に届きました。綺麗な絵葉書には「今日の講演会をまちの広報で知りました。行きたいのですが息子の学校の学芸会があり、たとえ行ったとしても終わりの5分くらいです。仲間にちゃんと話を聞いて伝えてねと約束しました」と書いてあるのです。
一方役場へ勤めている旧友から一本の電話が携帯に入りました。「今日は久々の天気なのでみかん収穫に妻と二人で畑に行きます。本当は役場職員なので行かなければならないところなのですが行けません。悪しからず」と言うのです。
私はこの二人の意味を照らし合わせて考えてみました。ハガキをくれた普通の主婦にとって講演会に参加する義務はまったくありません。むしろ悩むことなく息子の学芸会に行くべきでしょう。片や役場職員も日曜日なので講演会に参加する義務はまったくないのですが、役場職員である自覚と積極性があったら参加する方が賢明かもしれません。午前中の講演会なので昼からみかんの収穫だって出来るかも・・・と考えるのは私の勘ぐりでしょうか。
講演が佳境に入った頃、見覚えのある主婦が一人会場に入ってきました。そうですあのハガキをくれた人なのです。彼女は明らかに急いで来たような雰囲気で一番後ろで立ったまま私の話を終わりまで聞いていました。そうです。彼女は学芸会を終えて来てくれたのです。事務所で講演の後のお茶をいただいて見送りを受け、駐車場に行ったら彼女は寒風の中で私を待っていてくれました。嬉しかったです。本当は抱きしめたかったのですが、人目もあるので止めましたが少し目頭が熱くなりました。
「来たくても来れない人あり講演会お役所仕事と昔言われた」
「吉本と同じ笑いが会場に木霊す話涙流して」
「あちこちに手を振る人あり講演会ふんどし締めて話さなければ」
「入れ歯落ちそっと差し込むおばあちゃん私だけしか見えぬ裏技」