人間牧場

〇夏の名残り
 行く夏を惜しむように、朝からセミの鳴き声が賑やかに聞こえています。もう間もなくこの、やけっぱちに鳴くセミの声も、来年の夏まで聞こえないのかと思うと、少し寂しい気もします。

 詳しいことは分かりませんが、セミは土の中で何年か過ごし羽化して地上に出てもわずか数週間で短い命を終わります。子どもの頃学校の先生からこの話を聞いた私は、セミが可愛そうになり、それまでやみくもに虫網でセミを追いかけ捕まえていたセミ取りを止めた記憶があります。

 今朝ウォーキングに出かけ歩く道のあちことに命果てた、あるいは果てようとしているセミを足元に何匹か見つけました。中には既にアリが群がり分解されているものも見ましたが、こうして命の連鎖は私たちの知らないところで、有機質から無機質に変わって行くのです。

 「ああ悲しやセミの一生」です。生きている長さこそ違え、死してからなくなるまでの方法こそ違え同じ動物である人間も、同じような運命を辿るのかも知れないと思うと、「ああ悲しや人間の一生」です。

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