〇今も私はマッチと鉛筆を重宝しています
私たちが子どもの頃は身の回りにはマッチと鉛筆があって、いつも使っていました。家の煮炊きはかまどで野山から集めてきた杉葉や松葉、小枝などに順次火を点け薪にを燃やしていましたが、その着火は999、いわゆるサンキューという大箱マッチでした。最初の内は何本使っても要領が悪く火が中々点きませんでしたが、そのうち慣れると「マッチ一本火事の元」という標語のように僅か1本のマッチで大きな火を起こしました。
しかし最近は着火式ガスやオール電化の台所となり、またタバコをのむ人もライターを使ったり世間から疎んじられて少なくなったため、マッチを使う機会は極端に少なくなり、子どもたちにマッチのことを話すと、「それ何?」とまるで浦島太郎のような話になるのですから驚きです。マッチを知っている世代はもう賞味期限切れかも知れません。
一方鉛筆もボールペンやマジックインキ、シャープペンシルに座を奪われ、子どもたちは使っても、私たちの世代のように小刀で鉛筆を削ることはせず、電動の鉛筆削りに差し込めば、先まで芯の尖った鉛筆になるのです。私は時々日曜大工をしますが、寸法を測り印をつけるのに一番便利なのはHBか1Bの鉛筆なのに、周りを見渡しても鉛筆など余り見かけなくなりました。
私は若い頃町の広報「ふたみ」を10年間担当し、毎月2回発行に携わりましたが、ワープロやパソコンのなかった時代故、紙と鉛筆と消しゴムが3点セットでした。鉛筆で書いた原稿を決裁に回すと、上司が赤鉛筆で修正が加えられましたが、時には書き直しの烙印が押され、期日に間に合わせるため徹夜をしたこともしばしばでした。時代が変わったことを実感する今日この頃です。