〇映画二宮金次郎酒蔵上映会に寄せて(その2)
私は浅学ゆえ、翠小学校の校庭にある二宮金次郎の銅像が左手に持って読んでいる本のかすれた漢字を全て読みきることができなかったため、拓本にとって持ち帰り、町内の小学校3校、中学校2校の校長先生にフアックスで送り、読み方を聞きましたが、残念ながら5人の校長先生から「読めない」と返事がありました。
思い余った私は、つてを頼って県教委の国語の指導主事の先生に教えを請いました。指導主事の先生は早速この本が、中国の古書「大学」の一節であることを私に伝え、解説書まで作って私に送ってくれました。その後松山道後にある文教会館で開かれた県内小中学校の校長会の記念講演で、この話を紹介して手を挙げてもらいましたが、残念ながら殆どの校長先生が二宮金治路の読んでいる本のことを知りませんでした。
その後全国各地を飛び回るように講演活動をしていた頃、北陸福井へ行く途中に立ち寄った大阪梅田駅前の古書街のとある店先で、ノジの抜いた大学という見すぼらしくも古い本が売られているのを見つけました。値札は一万円でしたが、店番の若い女性店員さんとのやり取りで7500円に値切り、念願の大学を手に入れました。全て漢字で書かれている本など、浅学菲才な私は読めるはずもなく途方にくれましたが、その後わたしが塾長をしている年輪塾で、内村鑑三の「忘れられた日本人」に出会い、「先人に学ぶ」をテーマに二宮金次郎を学習することになり、「大学」の素読会が始まりました。
以来2年以上にわたった学習会は、二宮金次郎七代目の子孫中桐真理子さんを招いて公開セミナーを開くなど、思わぬ方向へと進み、作家童門冬二の本などのかかわりもあって、年輪塾では「処志」育成事業をスタートさせ、既に10人がチャレンジしてその認証を授与しています。一昨年わらび座が二宮金次郎のミュージカルを松山市民会館で上映した時には、年輪塾生が前座で唱歌二宮金次郎を合唱合奏したり、私も少しだけあいさつがてらレクチャーしました。
「大学を 出ている校長 何故だろう? 大学読めない おかしな話」
「校庭に 金次郎像 あるけれど 何の意味ある? 分からぬままに」
「旅先の 梅田古書街 店頭に 古い大学 一万値札」
「金次郎 知れば知る程 奥深い 復興の祖 まだまだこれから」
松島さん
小学校2年生の時の二宮金次郎像との出会いは、その後の私の生き方に様々な影響を及ぼしました。今もです。
全てにおいて、「すごい!」の一言です。
まだ、全国のどこかの古本やさんに『大学』があるといいなぁとねがいつつ…