〇孫が貰って来た鮭の木彫り
4年前に亡くなった親父は骨董品が好きでした。私も親父の血を引いているのか古い物に興味があり、親子二代で集めた骨とう品や古いものを、家の敷地内の倉庫を改造して海の資料館「海舟館」を造って納めていますが、わが息子も建築設計の仕事をしていることあって、私と親父ほどではないにしてもそれなりに関心を示し、これからもこれ等の展示委資料を大事に保存してくれるものと思われます。
2~3日前、4年生になる孫奏心が、ランドセルを背負って下校途中、通学路にある自動車さんの前を通りかかったそうです。自動車屋さんは犬を飼っていて、時々あやすためなついて、また自動車さんのご夫婦とよく挨拶をして顔なじみとなっているので呼び止められ、持っている鮭の木彫りをいただいたそうです。私が古いものを好きだということを知っているようで、帰るなり「おじいちゃんが歓ぶと思って、鮭の木彫りを貰って来た」と、一抱えもある鮭の木彫りを手渡してくれました。
この木彫りの鮭は本物と見間違えるほど良くできていて、私は喜んで孫から貰い受けました。早速海の資料館に展示をすべくあれやこれやと画策をしていますが、鮭は川で産卵ふ化し、川を下って海に出ます。何年か後鮭は自分の生まれた川を遡上して、親と同じように命の連鎖を繰り返し一生を終えるのです。「母川回帰本能」という不思議な生態を孫に話してやりましたが、海の資料館にまたひとつ新しい展示品が増えました。
「親子孫、 同じような こと興味 爺ちゃんのため 鮭の木彫りを」
「本物と 見まがうほどの 鮭木彫り 早速展示 あれこれ画策」
「川下り 海で暮らして 元の川 戻って産卵 はかない一生」
「じいちゃんが 喜ぶだろう 思ったと 殺し文句に ついついホロロ」