〇扇子
今年の夏は雨が降らず干ばつでした。ところが秋になると一転、今度は秋雨前線の影響で雨・雨・雨、家庭菜園のお世話も大変で、毎日ため息をついています。昨日から10月になったというのに、日中の気温は25度以上の夏日が続き、扇風機も未だに終わず風呂上りには大活躍をしています。涼を求めるために木になるカバンに入れて持ち歩いている「五事を正す」の扇子も手放せず、行く先々で風流にも使っていますが、書斎の横棚にも田処のほたる祭りで手に入れた扇子が一本置いています。
年輪塾でお世話になっている大洲藤樹会の辻先生が、書を絵を画いている扇子を開けると、どちらか表か裏か分りませんが、中江藤樹の絵をあしらった「孝」と漢文、もう一方には論語の漢文が書かれています。いずれも凡人ゆえスラスラと読むことは出来ませんが、「子曰く、学びて時に之を習う。亦説(よろこ)ばしからずや。朋有り、遠方より来る。亦楽しからずや。人知らずして慍(うら)みず、亦君子ならずや。」と続いています。現代語に訳すと、「孔子は言いました~。」で始まるのです。
「孔子はいいました。習ったことを機会ある毎に修復し身につけていくことは、なんと喜ばしいことでしょう。友人が遠方からわざわざ私のために訪ねて来てくれることは、何と嬉しいことでしょう。他人が自分を認めてくれないからといって、不平不満を言うことはありません。何と徳のある人でしょう。」。扇子を広げ仰ぎながらてな調子で読み、意味を噛みしめていますが、「論語読みの論語知らず」と言われるように、読むことさえも意味さえも、お恥ずかしいことに解かりかねています。
ましてや渋沢栄一の書した「論語と算盤」という本など、思いつくまま時々乱読していますが、奥が深くて意味の理解が出来ずにいます。渋沢栄一は論語と陽明学、武士道を考え方のベースにしてこの本を書いていますが、①個人の利益になる仕事よりも、多くの人や社会全体の利益になる仕事をすべし、②目の前の成功とか失敗というだけを見ずに、天地の道理を見て誠実にひたすら努力し、自分の運命を開くべしと説いています。中江藤樹の「知行合一」、二宮金次郎の「経済と道徳」、渋沢栄一の「道徳経済合一説」は時代やいい方こそ違え、考えは一緒だと思いながら、今朝もウォーキングで汗ばんだ身体に、扇子で論語の風(かぜ)を吹かせ当てました。
「扇風機 今年は10月 なったのに 終わず使い お風呂上りに」
「暑かった 今年の夏は それぞれの 扇子を使い 分け使う」
「また一つ 生き方学ぶ 論語風(かぜ) 道徳経済 合一大事」