〇タンポポの胞子飛ぶ頃
わが家の横にある甘夏柑主体の果樹園は、例年になく甘夏柑が不作で、毎年この時期全国の友人に送って喜ばれていましたが、今年は残念ながら送ることができないようです。ゆえに果樹園の中に足を踏み入れる回数が少ないため、園内のあちこちに無数のタンポポが咲き、早咲きのものは既に実を結んで種を飛ばす準備をしているようです。
先日から知人や友人がこの無農薬果樹園にやって来て、お餅や団子作りに欠かせない食材にするため、ヨモギを摘んでいますが、タンポポに目をやる人は殆どなく、無造作に踏み潰して帰ってしまうようです。昨日そろそろ草刈りの準備をしようかと、園内を歩いていると、タンポポの実を無数に見つけました。地面に座り白い綿帽子に覆われたタンポポの球体に感心しながら見とれ、急いで自宅に帰ってタブレットを持って来て写真に収めました。
それにしてもタンポポの球体は何とも不思議な幾何学模様で、人間でも作ることはできないようなち密さです。多分2~3日もすればこれらの胞子は風に乗って何処かへ飛んで行き、何処かの地面に新たな命を宿すのでしょうが、一茎折って手に持ち、口から思い切りタンポポに息を吹きかけると、軽い胞子は四方八方に飛び散りましたが、胞子の飛ぶ姿もまたまるでメルヘンの世界のようでした。
何年か前私は、これまでの青少年を対象にした21世紀えひめニューフロンティアグループの活動を「今やれる青春」という一冊の本にしました。その冒頭の前書きに「感動はタンポポのように」という文章を書いていますが、そのことを思い出しながら、これからもそんな理想の生き方をして見たいものだと、タンポポの花や綿帽子をまざまざと見ました。