〇日本語の混乱
「私は日本人だから極力日本語を話す」と格好良く振る舞っていますが、何のことはなく単に英語や外来語に弱いだけのことなのです。それでも大学も出ていない私が、大学の非常勤講師や客員教授になると若者との付き合いもあって、知ったかぶりもできず、随分苦労をしました。しかしそれらの窮屈な役目を終えた今では、英語や外来語に振り回されることもなく、むしろオンリーシャパニーズで楽しく過ごしています。
先日元砥部町長の中村さんから世相談義という高信太郎の文章コピーが送られてきて、納得しながら読みました。
日本は江戸300年の鎖国が明治になって終ると、外国から入ってくる西洋語をかたっぱしから翻訳して、和製漢語にしてしまいました。今では日常的に使われている「現代・社会・生活・政府・行政・選挙・銀行・保険・金融・経理・企画・鉄道・汽車・自動車・道路・飛行機・郵便・電報・電話・運動・体育・陸上・競争」という言葉も全て明治になってから造られた造語なのです。愛媛の人なら誰もが知っている俳人正岡子規は、自分の名前を捩ってベースボールを「野球」(ノーボール)としていますし、福沢諭吉はマネーオーダーを「為替」と訳しました。これらの言葉を使う度に明治の人の偉さを垣間見るのです。
しかし明治人に比べ現代人の不味さは、何の工夫もなく意味も調べようともせず、外来語をそのままカタカナ標記して使うだけだと、高信太郎はイライラしながら言っています。コピーに載っていた「アーカイブ・インセンティブ・グローバリゼーション・ケーススタディ・コラボレーション・ノーマライゼーション・ポテンシャル・メセナ・モニタリング・モラルハザート・ユビキタス」などはすっかり日本語となったような錯覚さえ覚える外来語です。私も時々日常的にこれらの言葉は使いますが、「意味を言いなさい」と開き直られると、頭をかいて「すみません」と誤るしかないようです。
アーカイブ=古新聞、インセンティブ=欲の皮、エンフォースメント=無理強、グローバリゼーション=地球大、コラボレーション=藤子不二雄S、ポテンシャル=火事場力、モニタリング=覗穴、モラルハザード=支離滅裂、ユビキタス=自由時空が本当の意味だそうですが、いやはや知らないのに知ったかぶりをして使っていたもんだと、少々汗顔でした。と同時に今からでも遅くないから、カタカナ標記されている言葉の本当の意味を勉強してみたくなりました。
「リベラルの 本当の意味も 分らずに 使っていたが 『胡散くさい』だと」
「カタカナの 言葉使うと 格好良く 見えるようだが 止めるべきだな」
「アーカイブ アーカイブスと どう違う みんな知ってて 俺だけ知らず」
「アメニティ 飴をなめつつ お茶を飲む 正岡子規と 同じレベルで」