人間牧場

〇イタドリの花の咲く頃

 蜜蜂を飼っていると、蜜源となる花は春から初夏にかけて多いと思うのですが、秋のこの時期は蜜源となるべき花が少ないというのが実感です。それでも蜜蜂たちはどこから集めてくるのか、冬生き残るために必要な蜂蜜を集めようと、せっせと働いています。昨日は日本海を抜けようとする台風崩れの熱帯低気圧に向かって、通称やまぜと称する南西の風が昼過ぎから吹き、海も里も大荒れでした。折角順調に育ちつつある家庭菜園の野菜類も大風に揉まれ、中には吹き飛んだものもありましたが、夕方遅くに風も止んでホッと一息といったところです。

散歩の途中で見つけたイタドリの見事な花
散歩の途中で見つけたイタドリの見事な花

 昨日雨を伴った風の中を傘を差し、長靴を履き裏山へ散歩に出かけました。そこここに秋の気配が漂って、コナラのドングリの実が風で飛ばされ、道に無数に落ちていました。子どもたちにとっては格好の遊び道具なので、明日にでも孫を誘ってドングリの実を拾いに行こうと思っています。道の擁壁に差し出すように真っ白な花をいっぱいつけた、イタドリを見つけました。花の少ないこの時期だけに大風の中蜜蜂が数匹花に必死にしがみついて蜜を集めていました。イタドリの花に蜜があるのか?と思いながら、花の美しさに見とれてしまいました。

 イタドリは私たちが子どものころは、貧しさゆえにイタンポと呼んでよく食べた食材で、思い出は尽きないのです。しかしそのイタンポも花となると、「はてどんな花だったか?」一向に思い出せません。多分花より団子だったのでしょう。でもこの歳になるとむしろ「団子より花」で、早速家に帰ってデジカメをポケットに入れ、再び散歩コースに出て今が盛りと咲き誇るイタドリの花を、愛でながら写真に収めました。
 イタドリは花を散らすと立ち枯れして冬を迎えます。来年の春には越冬した根元から若い新芽が出ますが、これが山菜として結構いけるのです。

イタドリ イタドリは地域によってスカンポ、イタンポ、ドングイ、ゴンパチ、エッタンなどと呼ばれていますが、葉っぱや根が傷等の痛みを取るからイタドリ=痛みを取るといわれるようになったとも・・・。イタドリは虎杖と漢字で書くようです。私の記憶の中ではイタドリは山菜として食用するしか考えられませんでしたが、この秋初めて花という対象物に変わりました。野草は人知れず花を咲かせ、殆ど人に見られることもなく花を散らします。せめて私一人くらいイタドリの花の美しさを、愛でる物好きな人間がいてもいいのではないかと、遠く近くからマジマジとイタドリの花を楽しみました。

 

  「散歩道、擁壁せり出し 咲いている イタドリの花 蜜蜂2~3匹」

  「野の花は 人知れず咲く ゆえ綺麗 愛でる人なく 淋しそう散る」

  「綺麗ゆえ デジカメ持って 撮影に 上横下と カメラマンぶる」

  「白い花が 咲いてた歌を 思い出す 何の花かは 思い出せぬまま」 

 

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