人間牧場

〇夫源病という病気

 最近は一億総病人といわれるほど、国民が何らかの病気にかかっているようです。それを物語るように、毎年毎年大学を出たり国家試験を経て沢山の医師が誕生しているのに、未だに医師不足だと嘆いています。しかし一方で身の回りには私たちが子どものころにはなかった病院や薬局が、コンビニエンスストアーの数を上回るほどあちらこちらにできて、畑や田圃のあちこちには農作物ならぬ病院の看板がまるで雨後の筍のように林立しているのです。

 最近の病気の特徴は、かつて贅沢病と言われていた糖尿病や、一見健康人間と見紛うのに心が病んでいるうつ病などがどんどん増えているようです。昔インスタントラーメンが出始めの頃、大学生が毎日インスタントラーメンを食べたため肝機能障害を起こし、お医者さんが「インスタントラーメン症候群」という病名をつけた話を聞きましたが、病気は世相を映す鏡のようです。糖尿病やうつ病が多いのも、やはり豊かさと混迷の世相を反映していて、益々混迷の度合いを深めています。

 最近「夫源病」なる病気がお目見えしました。夫の言動が妻の病気の原因だと言うのです。夫は外妻は内というのが、昔の家庭の構図でした。ところが妻も外で仕事をするようになるとそれぞれの生き方がまるでボタンの掛け違えのようになり、夫婦の絆があや糸のようになるのです。ところが定年を迎えるとそうした夫婦が、毎日一緒に一つ屋根の下で暮らすようになり、お互いがお互いをうっとうしく思うのです。

 男性は私を含めてわがままです。特に三度三度の食事はもっぱら妻の仕事と思っている、古いタイプの夫はその度合いが強く、そのことが妻のストレスの大きな原因になっているのが夫源病なのです。冷めた夫婦は夫源病に耐え切れず、年金も離婚をしても半分もらえる現代ですから、離婚を決意する人も多いと聞きます。いやはや何としたことでしょう。かくいう私もひょっとしたら離婚の危機かも・・・。人事ではありません。「夫のために余生を尽くすのはもうこりごり」と思っている夫源病を患っている女性に、どんな妙薬があるのでしょうか。恋病と夫源病は医者にも治せない厄介な病気かも知れませんね。

  「最近は 夫源病なる 病名の 新たな病気 あるのだそうな」

  「何故私 夫のために 尽くすのか 妻の言い分 分る気がする」

  「妻さえも 信じられない 世の中に 残り少なく なったというに」

  「わが妻は そんな病気に かからない 信じています 愛してますよ」

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