○春の佐田岬半島・その④(樹齢千年の大楠)
先日浅野先生の導きで三崎中学校へ講演に行きました。その折PTA副会長で、次年度会長になる予定のお寺の住職さんに出会いました。住職さんは閉会の挨拶でふるさと」というご存知の歌の三番の歌を歌われました。「♭こころざしをはたして いつの日にか帰らん 山はあおきふるさと 水は清きふるさと♯」という歌詞です。私は住職さんの歌を聴きながら心がぐっと込み上げてきました。一番の「兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川 夢は今もめぐりて 忘れがたきふるさと」や、二番の「如何にいます父母 恙なしや友がき 雨に風につけても 思い出ずるふるさと」も、日本人の優しい心を歌った大好きな歌なのです。
その時住職さんから、「私のお寺は中学校の直ぐ裏にあります。お寺の境内には樹齢千年を越える大楠木があります。夏の緑陰も冬の陽だまりも素敵です。是非一度」と誘われ、私も一週間後に保母さんたちの集まりに来る予定なので、その時は必ず伺います」と話してお別れをしました。
講演のあった3月5日は絶好の日和で、家を早く出た私は春まだ浅い佐田岬半島を、町見郷土館、風車公園、二名津田村お菓子屋さんと順番に立ち寄り、昼過ぎにお寺へ向かいました。思いつくままに車で路地道を走って運よくお寺の駐車場に到着しました。お寺の横の家のチャイムを鳴らしましたが、あいにく住職さんは留守のようなので、勝手に楠木など境内の散策をさせてもらいました。
境内の楠木は住職さんが自慢したとおり、聞きしに勝る銘木で、その大きさには度肝を抜かれました。樹木には木霊が宿るといいます。楠木にそっと手を添えてパワーをいただきました。 楠木の故事来歴看板によると根の周囲は10.9m、目高直径7.1m、樹高17.5m、樹齢千年と書かれ、藤原純友時代より古い時代からこの地に生きているのです。
お寺の庭も立派で、屋根が絵のときに出たであろう瓦が随所に使われ、古刹ぶりを遺憾なく発揮していました。私は古い銘木が大好きで、旅に出て銘木に出会うと何かパワーをいただいたような気持ちになるのです。千年の時を超えて生き続ける楠木に比べれば人間の寿命はたかだか幾ら長生きしても100年です。気の遠くなるような長い年月をこの地三崎の歴史とともに生きてきた姿に深い感動を覚えました。残念ながら寄る年波でしょうか主幹が枯れ少し受精が落ちているようにも見えました。
「大楠の 木肌をそっと 手でさすり パワーいただく 三崎のお寺」
「そこここに 古刹趣き 感心す 住職感性 豊かなりけり」
「大楠や あこう樹ありて 羨まし これから先も 大事に保存」
「約束を 守りお寺を 訪ねけり あいにく留守で 一人散策」