○カツオでないマナガツオという魚
昨日の夕方漁師をしている親類のおばさんから、「マナガツオのお裾分けをするから取りに来ないか」と誘いの電話がありました。丁度夕食前だったので急いで軽四トラックを走らせ下灘まで行きました。聞けば昨日は下灘の港に沢山マナガツオが水揚げされたそうで、親類のおばさん方も別の漁師さんからいただいたものをおすおすぁけしてくれたのです。今回沢山獲れたというマナガツオは小ぶりなようで、それでも10枚近くに加え建て網で獲ったメバルやホゴもいただきました。
冬の時期は海が時化るため漁に出る日が少なく、特に今年は寒波の影響で年末から1ヶ月間殆ど漁に出られなかったため、新鮮な魚にありつけなかっただけに、貴重な食料源で大喜びでした。
マナガツオという魚はまるでエンゼルフィッシュのような魚です。マナガツオと名前がついてはいますがカツオとは無関係なイボダイの仲間なのです。カツオでもないのに何でマナガツオという名前がついたのかは色々諸説があるようで、カツオが採れる時期と重なっているとか、子どもが生後120日の「喰い初め」に骨が少なく柔らかいため鯛の代用として食べた「まなはじめ」に由来するとか言われていますが定かではありません。
「北にサケあり西にマナガツオあり」といわれるほど有名で、特に瀬戸内海で獲れるマナガツオは味噌漬けにして食べられたり、刺身、塩焼き天ぷら、煮つけなど万能的な食べ方が出来るのです。わが家では刺身と塩焼きが定番で、昨日は刺身でいただきましたが、美味しくて食が進みました。一説によるとバターフィッシュといわれるそうで、バター焼きもいいそうなので今度試してみようと思います。
風の噂によると、例年通り今年も何度かマナガツオの大漁に港は湧いたようですが、マナガツオが獲れる漁場は三崎半島沖の推進200メートルの深い場所だし、魚群探知機でマナガツオの群れを探さなければならないため、群れが見つからない日は漁獲ゼロの日も多く、まるで青森県大間のマグロ漁のように辺りはずれが多いのです。そのため漁船全てがマナガツオ漁をしないため、大漁になった時はお裾分けのお裾分けがこうして届くのです。漁獲の多い漁船は一網で200万円~300万円を稼ぐまるで博打のようなものなのです。
マナガツオに西京味噌をつけて焼くと香ばしい匂いがあたり一面に漂ってきます。「さいきょうを焼く」(人の世話を焼くこと)という言葉の語源はひょっとしたら?何てちょっぴり思いました。
妻はマナガツオを下ごしらえしてちゃっかり冷蔵庫に収蔵しましたので、ここ2~3にちはマナガツオ三昧の美味しい料理を食べさせてくれることでしょう。魚大好きな私として至福のようです。
「マナガツオ お裾分けだと 貰い受け 早速夕餉 膳を賑わす」
「マナガツオ 春の便りを 届け来る 季節巡りて 寒さ和らぐ」
「美味しいと 異口同音で 言う二人 食が進みて ご飯お替り」
「親父にも お裾分けする マナガツオ かつて昔は 親父も獲った」