○盆梅の花の香り芳しく
わが家には親父が丹精を込めて作っている盆栽の白梅が3つあります。いずれも季節の巡りを察知してか、その梅の花が咲き始め、芳しい匂いを漂わせています。梅は桜のような派手やかさはありませんし、咲く時期も寒い早春なので私たちも何気なく咲いて何気なく散って行く梅の花を楽しむことも殆どないのですが、リタイアして少し時間的余裕が出来たのか、梅の花を私一人が独占して毎日愛でているのです。
大元は親類から貰った写真の箱庭は、親父の手によって見事に修復され五葉の松と白梅が程よく植えられ、小さいながら見事な景観を演出してくれています。特に白梅の咲くこの時期が一番で、御影石の切石の白さと、隠居の焼き杉の黒い外壁、そして格子戸窓が見事にマッチして、これぞ日本の美だと勝手に思っているのです。隠居の入り口にもう一つ親父の作った箱庭があります。このミニチュアにも同じように梅が植えられ、隣の鉢植えと一緒に咲き始めました。
こんな小さな梅の木なのに、昨日はメジロかウグイスか分かりませんが、綺麗な抹茶色した小鳥がやって来て、花の蜜を吸っていました。ふと子どものころに遊んだ花札の一枚を思い出しました。松と梅と桜の短冊や梅の花の4枚などは懐かしい正月遊びの思い出です。野球賭博や八百長で大相撲が大変なことになっていますが、ちょっと雅な花札遊びの世界は楽しいものなのです。梅にウグイスをこの花札の一枚から連想することしか出来ない私も相当野暮な男のようです。
春はもうそこまで来ています。寒風に晒されている人間牧場の梅林の蕾はまだ固いようですが、メジロやウグイスは春が待ちきれないのか盛んに梅林を飛び交って、春の来るのを待っているようです。さあ私の農作業も本格的に始めなければなりません。コンニャク畑の草引き、栗の木の接木、ミツバチ巣箱の掃除、杉垣の剪定など、遅れている農作業の数々が私の心をせかせているようです。
「盆栽の 梅の花咲く 庭に出て 鼻を近づけ 華の香愛でる」
「梅の花 思い出すのに 花札を 連想俺も 野暮な男だ」
「懐かしき 花札遊び 今にして 思えば賭博 入り口でした」
「梅林を 忙し飛び交う メジロたち 鼻の咲くのが 待ち遠しくて」