○恋人の聖地
人間とは欲なもので、松山から宇和までの高速道路が無料化実験区間になると、通行料金が必要だったこれまでは、地道の56号線を通っていた車が一斉に高速道路を走り始め、今では「これが田舎の高速道路?」と見まがうほどな交通量があるようです。
かくいう私でさえ目と鼻の先の松山へ行くのに時たま高速道路を使い、「高速道路の無料化は反対で、利用者が負担するのが本来の姿だ」などと思いつつ、その恩恵を甘んじて受けているのです。
昨日は来週から始まる大学の集中講義の打ち合わせのために、松山市の郊外樽味にある愛媛大学農学部へ出かけましたが、折角だからとちゃっかり高速道路を利用しました。9時過ぎに自宅を出て市役所支所で雑談をしてから出たのに、打ち合わせが終わって自宅へ帰ったのは昼前でしたから、いやはや高速道路の便利さは大したものです。一昨日は愛南への往復に大洲~宇和、宇和~伊予市も利用していて、大洲~双海までは高速道路も地道も時間的にはそんなに変わらないものの、「えっ、早帰ったの?」と驚くほどの早さでした。
昨日は仕事も一段落したので帰りに伊予灘サービスエリアに立ち寄りました。伊予インターを利用する私としては、伊予灘サービスエリアは余りにも近過ぎてトイレも買い物も必要でないため殆ど利用しませんが、ふたみシーサイド公園とともに「恋人の聖地百選」に選ばれていることもあって、一度は訪ねたいと思っていたのです。
伊予灘サービスエリアからは伊予市、松前町、松山市の市街が一望できます。加えて沖合いには瀬戸内の海が開け、眺望は素晴らしいものです。お目当ての恋人の聖地を示す石造モニュメントは、敷地内の隅に設置していました。
先んじて私のアイディアで造ったシーサイド公園の記念モニュメントとは随分趣が違っていましたが、付近の金網には若者たちが流行にあやかって吊るした愛の鍵が幾つもぶら下がっていました。少し美観を損ねる感じもありますが、若者たちが愛を語ったり夢を見たりするために立ち寄ることはいいことなので、写真に収めて帰りました。サービスエリアは休憩機能や情報機能としてドライバーに利用されますが、物が売れなければゴミとトイレの掃除にかかる費用を捻出することは出来ないので、あの手この手を使っているようでした。
恋人の聖地に選ばれているシーサイド公園も間もなくサンセットロマンチッククリスマスが始まり、海辺の公園はイルミネーションで美しく飾られることでしょうが、恋人岬のモニュメントも今は年中発光ダイオードの七色の光が夕日のミュージアム屋上から照射されて、夜を演出しています。先日伊予市広報の表紙で紹介されたダルマの夕日もいよいよ最も西よりのコースを通る冬至の頃を迎え、西の端に沈んで、少々見栄えの悪い時期となりますが、その分夜のイルミネーションがカバーしてくれることでしょう。
「伊予灘と いう名のサービス エリアにて 恋人聖地 石造写す」
「若者の 夢を吊るした 鍵無数 破れぬように 結ばれるよう」
「一日で 今日から師走 音楽も ジングルベルに 早くも変わり」
「見晴らしは ドライバーには 無縁にて トイレ終われば そそくさ去りて」