○送られてきたリンゴと柿
昨日外出先から帰り、勝手口にある郵便受けから郵便物を取り出しました。その郵便物に混じって、「○○様からのお荷物をお届けに来ましたがあいにく留守でした。今日中に届けたいと思いますので、下記にご連絡ください」と書いているメモが2通もありました。私は早速郵便局と宅配業者に電話をして、「自宅にいるのでそちらの都合のいい時間に届けて下さい」と伝えました。やがて夕方雨の中を郵便局員さんと宅配員さんが相次いで訪れ、どちらも受取人の名前をサインして荷物を受け取りました。送られてきた荷物は、私の大好きな果物であるリンゴと柿でした。送り主は広島県東城町に住む松永さんと和歌山県和歌山市の橋口さんからでした。
松永さんはもう35年以上も前に総理府派遣青年の船で一緒にアメリカへ行った人で地元の役場へ勤めています。30年ぶりに出会ってから毎年自分で作ったリンゴを送り続けてくれています。一方橋口さんは県庁に勤めている人で、研修会の講師で招かれて以来柿を送り続けてくれているのです。
リンゴは外国産のものもあって年中出回っていますが、私は毎朝1個のリンゴとキャベツを食べる「リンキャベ」食をもう30年以上も励行していて、嬉しい贈り物なのです。松永さんから送られてきたリンゴは蜜入りリンゴで、酸味も程よくあり、とても美味しいリンゴなのでこれから毎朝の食卓が楽しみです。
一方柿はあまり保存が出来ないことから今が旬で、柔らかくて甘みのある柿は舌もとろけるような美味しさなのです。郷土愛媛が生んだ俳人正岡子規の「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」の句に橋口さんの顔を重ねながら、妻のむいでくれた柿を楽しんでいます。
柿といえばもうそろそろ「あまぼし」の季節です。「あまぼし」とは吊るし柿のことですが、わが家でも毎年正月用に渋柿を買って2連ほど作ります。あの渋い柿がどうしてあのような甘い柿になるのか、浅学の私には説明は出来てもメカニズムは理解できません。柿大好物の私としてはそろそろ外気温が下がり、北西の季節風が吹き始めたので、いつにしようかと迷っているところです。
名僧一休禅師の言葉に、「悪しくとも ただ一筋に捨つるなよ 渋柿を見よ 甘干となる」と詠んでいます。私が子どもの頃は食べるものとてなかった頃だったので、柿の実の余りの見事さにうっかりがぶり渋柿をかじり、そこら辺の茂みの中へ捨ててしまったものです。当時は捨ててしまったあの渋柿が甘干になるなんて思っても見ませんでした。祖母や母などは甘干作りのために剥いた渋柿の皮さえ干して大根と一緒に漬け込み、黄色い沢庵を作るのに役立てていたのです。
渋柿の皮も捨てればゴミ、利用すれば香味になる生活の知恵は今も妻によって受け継がれていますが、渋柿の悪縁も考え方一つで善縁になるという教えを一休禅師はこの言葉で説いているのです。友人から送られてきたリンゴも柿も味わって食べたいものです。
追伸
柿どころ西条市丹原に住んでいる佐伯さんからも美味しい富有柿が沢山届きました。
「柿リンゴ 季節果物 宅配便 籠盛り卓上 秋を演出」
「太ってる ことを果物 せいにする 朝フルすれば 太らず済むに」
「柿食べて リンゴを食べて 友の顔 思い出しつつ 妻に説明」
「届いたと 電話の向こう 友人に お礼の言葉 深々頭」