shin-1さんの日記

○悩み多い上司と部下

 昨日の夕方、家庭菜園で妻に頼まれ夕食のための野菜を収穫していたら、唐突に私の携帯電話が鳴り出しました。手には水と少しばかりの土がついていて、「ちょっと待って」とポケットに手を突っ込む間もなく、その電話は切れました。急いで家に戻り手を洗い着信履歴を呼び出して電話をかけ直しました。

 私の携帯電話は他の人のように秘密にしている訳ではなく、私のホームページでも公開しているので、かけようと思えば誰でもかけれるのですが、そんな人は講演依頼か余程の人以外はかけてこないのです。つまり私に電話がかかってきた人は知人なのです。

 電話の相手はかなり深刻そうな話をしていました。要約すると、「自分の部下が仕事を辞めたいと相談してきた」「管理職になってまだ日も浅く、自分のことで精一杯なのに、部下に辞められると自分の管理能力が問われる」「どうしていいか部下も私も悩んでいる」「二人がこれから行くので相談に乗って欲しい」というのです。

 私は仕事柄色々な人から色々な相談を受けますが、上司と部下の二人揃って助言をして欲しいという相談は初めてなので、とりあえず「上司のあなただけ来て欲しい」と話しました。私には彼らに助言をするほどの脳力はないし、ましてや何の責任もないのです。しかし断わることもできず上司の彼はわが家へやって来ました。

 わが家へやって来た彼は、今年の春待望の課長になったと喜び勇んでいた姿とは別人のような冷めた顔でした。煙会所の裸電球に照らされた顔を見ながら事の顛末を聞きましたが、管理職として自分の職責を大事にする余りに上ばかりを見て仕事をしていて、下を見ていなかったことをまず諭しました。

 課長のような中間管理職は上と下に目を配らなければなりません。ノルマも当然あってその成果は上司と部下の信頼関係で勝ち得るものなのです。聞けば「ノルマを達成できないのはお前の責任だ」と部下をののしったことが事の発端だったようですが、部下が「私の努力を分かってくれない」と反論しお互いがパニックになったようです。

若松進一ブログ
若松進一ブログ

 私は先日ある公民館のロビーで貰ったニューモラルという雑誌に載っていた三人の石工の話を引用して、部下が仕事によって得られる喜びは次の3つがあると話しました。①自分の能力を発揮することが出来る(自己の成長を実感できる)、②他人や社会の役に立つことが出来る(社会に貢献している)、③報酬を得ることが出来る(生活のための十分な収入がある)、の3つです。そのためには上司と部下が夢や目標を共有しなければなりません。石工たる部下に石を積むことだけを強要し、石垣を造ってその上にお城を建てるという夢や目標を教えなかったら、働く喜びも役立ち感も将来への夢も、ましてや収入にも満足できないのです。


 私の話を聞いた彼は、「もう一度やってみる」と言って帰って行きました。今朝早く私のパソコンに短めのメールが入っていました。私もすぐさま「頑張れよ」と短めの返信をしておきました。部下の時代にはみんな課長になることに憧れますが、自分の働きのなさを棚に上げて、自分が輝けないのは課長の責任だと嘯きます。課長になれば上と下の間にまるでサンドイッチのように挟まれ、身動きが取れない自分を嘆きます。みんなそんな閉塞感に苛まれて仕事をしているのでしょうが、それでも1+1=2は当たり前、1+1=3にも4にもするには上下の信頼関係とスクラム以外にないのです。

  「何してる 聞けば三人 三様に 仕事語るも 夢を語れず」

  「管理職 見た目ほどには 楽じゃない サンドイッチに 頭悩ます」

  「1+1 答えは2だが やり方で 4にも5になる 信頼関係」

  「上司部下 お互い自分で 選べない ゆえに心を 許して励む」

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