○運転手と道案内人付きの贅沢な講演小旅行①
私の友人で、車ハウス砥部という自動車修理工場を営む稲葉さんから2ヶ月程前に電話があって、「先日伊予市青色申告会で聞いたあなたの講演を、広島県でしていただくことは可能でしょうか?」と相談がありました。「私は刑務所以外呼ばれたら何処へでも行く」と常日頃冗談を言っている人間なので、稲葉さんが私の畑を借り受けて農作業をしている、親しい友人ということもあって,喜んで相談に応じました。
広島県の講演の相先は、稲葉さんの古い友人で、稲葉さんと同じくボディショップ高屋という自動車修理工場を営む稲井誠さんのお店が30周年を迎えるので、その記念に講演会をやりたいというのです。
私も多い年には年間100日以上も全国へ講演に出かけていますが、自動車修理工場の30周年記念事業に講演をするという奇抜なアイデアに、面白そうだとは思いましたが、相手のことを思うと内心不安を覚えました。それでも稲葉さんの口車と熱心な助言もあってこの話はトントン拍子に進み、稲井さん夫婦は先月、わざわざ私の自宅まで事前の挨拶や打ち合わせに来られ、昨日の日を迎えることになったのです。
昨日の朝私は稲葉さんの指示されるまま、7時過ぎに自宅を出ました。昨日は前日までの上天気がまったく?のような雨模様の一日となりましたが、友人と高知まで日帰り旅を計画していた妻に車を乗っ取られたため、仕方なく軽四トラックでの出発となりました。
早朝だったので稲葉さんのお店には20分近くも前に到着し、携帯で連絡を取り合い間もなく稲葉さんと同行する高岡さんが相次いで見えられました。聞けば稲葉さんの友人高岡さんが運転のため同行してくれるそうで、まるで大名、まるで水戸黄門のような講演小旅行に、私自身恐縮してしまいました。車は松山インター~小松ジャンクション~今治~しまなみ海道~山陽道~広島高屋ジャンクション~高屋インターと2時間半の道程を、楽しいおしゃべりをしながら進みました。沿線の紅葉も少しずつ進んで、ウルシやハゼモミジが色鮮やかに秋の雨に濡れていました。稲葉さんの記憶を頼りに間違いなく稲井さんの自宅へほぼ時間通り到着しました。
稲井さんとは先月打ち合わせのためわが家へ来られ顔見知りでしたので、臆目もなく自宅へ上がり込み歓待を受けました。そのうちタカキベーカリーに勤める、稲井さん・稲葉さんの共通の友人である小林さんご夫妻も見えられ、奥さんや娘さん、それに小太りの猫一匹も加わり楽しい昼食懇談となりました。稲井さんの自宅は洋風な木造の吹き抜け風で薪ストーブが焚かれていました。家の裏山はドングリや山栗も落ちる雑木林で、前には小川が流れ牧歌的な雰囲気でした。稲井さんの案内で雨に濡れた穏やかな秋の風情をみんなで散策したりしながら、講演の始まる時間間際まで、束の間を楽しみました。
「自家用車 妻に奪われ 軽四の トラック出発 秋雨の朝」
「運転手 案内人まで 同行の 贅沢講演 小旅行行く」
「一度しか 会わぬ人だが 何となく 古い友人 感じながらも」
「庭先に はじけ飛び散る ドングリに 秋の風情を 見つけ散策」