○ハガキの達人
「若松さん、一日に3枚はがきをかたらしあわせになれるよ」と、「ハガキは嬉しい活力素」という半田正興さんの著した一冊の本をくれたのは、広島県旧新市町(現福山市)に住む平井悦夫さんでした。平井さんとは地域づくりの研修会で知り合い講演に招かれたり、私が代表を務めているしている21世紀えひめニューフロンティアグループが主催していたフロンティア塾の講師として招いたり、かつてはかなり頻繁に交流をしていました。
その後交流は途絶えているように見えますが、福山で開かれた講演会に顔を覗かせてくれたりしていますが、彼こそ「ハガキの達人なのです。年に何度か私の元へ彼からハガキが来ますが、まあそれはハガキの達人らしく、裏も表も隙間は殆どなく、まるでやくざの背中の刺青か、仏教の曼荼羅のように文字が書かれているのです。現在ハガキは50円ですが、これが高いと思うか安いと思うかは使い方次第で、これ程文字を書くと「50円は安い」と感心したりしながら受け取るのです。
「ときめ木堂の悦びタイムス」と題したハガキ通信が私の手元に届くようになったのは、いつごろか定かではありませんが、このハガキ通信も既に198号を記録していて、私は密かに200号の到着を心待ちにしているのです。仮に一ヶ月に1号だと、一年で12号ですから十年で120号だと単純計算すると二十年で240号、二十五年で200号という計算が成り立つのです。これは凄い数字で、私もハガキを毎日3枚書いていますが、ランダムに辺りかまわず出している私に比べ、ハガキ通信にこだわっている平井悦夫さんの努力にただただ敬服をするのです。平井さんは地方公務員でありながらハガキに書かれているように、様々な旅をしたり様々な体験をしています。まあ自由時間の使い方についてはこれまた達人だし、そのことによって出会った異業種の友人・知人は数知れず、これまた仲間作りの達人かも知れないのです。
私も平井さんを真似て、かつて毎日1枚、一年365日全てをはがき通信したことがあります。目標を達成したので辞めましたが、その通信記録は机の隅に置いている使われなくなった古いワープロとフロッピーが記憶しているはずなので、いつか暇になったら日の目を見せたいと思っています。
平井さんの200号寸前には叶わない年数ですが、私の一年365日365号のハガキ通信も、劣らないいいアイデアだったし、オンリーワンの記録として遺したいと思っているのです。
人はあれもしたいこれもしたい、あんな人になりたいなどと様々な夢を見ます。しかしいつの間にかその夢は見果てぬ夢と諦めたり消えたりしますが、ハガキ一枚でも毎日、毎月続けるる小さな努力は、続ければ平井さんのように大きな成果となるのです。「平凡なことも続ければ非凡になる」とはけだし名言です。