shin-1さんの日記

○折り合いの狭間

 種蒔きの頃の高温と雨不足で、「種を蒔くのは210日前後」と聞いていた種蒔きの時期が大幅に遅れ、その後台風は来なかったものの今日まで高温続きで、春が来たと勘違いしたモンシロチョウが家庭菜園を飛び回る姿に、「やはり異常気象だ」と納得する今日この頃です。

 異常気象は農家などを苦しめます。これまでの日本の歴史を振り返っても干ばつや洪水、冷害、害虫などが原因で飢饉や騒動が起こっています。人々はなすすべもなく自然の猛威に立ちすくんで涙したものでした。最近は気象そのものはコントロールできなくても、ビニールハウスなどで囲って温度を上げたり下げたりしながら、気象に逆らって農業をすることは可能になりましたが、そのためには莫大なエネルギーと労力が必要であり、環境問題が取り上げられる度に議論されているようです。昨日テレビを見ていたら、土を使わないで出来る野菜工場が話題になっていました。

 土を使わず、囲われた室内で作る野菜は、無菌無害虫状態を保って生育するため、農薬を使わないで済むし、収穫した野菜は洗わなくても食べられるのだそうです。しかもレストランの室内に野菜工場を併設して、地産地消をPRする所まで出来ているのです。

 私はふと養殖魚のことを思い出しました。魚の養殖が普及し始めたのはそんなに古い時代ではありませんが、草創期の頃天然のハマチの味に慣れた人が、「ハマチを食べたらイワシの味がする」と言ったそうです。それもそのはずハマチは生簀の中で、人間の与えたイワシばかりを毎日食べて育ったのですから、イワシの味がしても当然なのです。最近は残餌による海の汚染が問題になって配合飼料で育てられているようですが、やはり現代のハマチも「配合飼料の味がする」のかも知れません。

 イチゴの高床式ハウス栽培が盛んに行われています。イチゴは土から病気が発生しないよう綿状のベットに染み込ませた液肥を吸って育つのですが、土で育てたイチゴの香りを知っている味に敏感な人は、「イチゴを食べたら液肥の味がする」と言うのだそうです。

 米も洗わないで炊ける無洗米、おかずも調理済みのお惣菜、野菜も洗わないで食べる無洗野菜と、まあ包丁もまな板も使わないでも別に困らない便利な世の中になって来ましたが、今に食事を食べさせてくれるロボットが開発されて、人間は何もしないで生きることだって出来る、手も使わない時代が来るのでしょうか。

 全てではありませんが幾つかの食べ物を自分が作って食べている私としては、土を使わず太陽にも当たっていない野菜が、本当に身体にいいものなのかは疑いの目を持っています。

若松進一ブログ
若松進一ブログ

(青虫にものの見事に食い荒らされたキャベツ畑)

 昨日親父と二人で家庭菜園の葉物野菜の軽めの消毒をしました。虫がキャベツや白菜など野菜の葉っぱを食い荒らしているのを見るに見かねての消毒でした。消毒は身体に良いとは私も思っていません。しかしこのままだと全滅しそうなのです。「折り合いの狭間」で随分悩んだ末の消毒でしたが、割り切って散布しました。昨日妻がスーパーで買ってきて食卓に上った小松菜などは虫の食ったところはまったくなく、いかにも美味しそうな姿をしていたし、実際に食べても美味しかったです。でもこれ程綺麗に育てるためには、やはり農薬のお世話になっているものと推察するのです。野菜を買う時やこれを調理して食べる時、「折り合いの狭間」で揺れ動く心は、安心安全と健康で長生きを願う人間の、あくなき心理のようなものだと思いました。寒さに触れると死滅する害虫のためにも、早く温度が下がって欲しいと願っています。


  「虫食べる 美味い野菜を 俺食べる 折り合いつけて 軽め消毒」

  「ハマチ食べ イワシの味と 思う人 イチゴも液肥 味がするかも」

  「工場で 土や太陽 無関係 作った野菜 本当に美味いの?」

  「米野菜 洗うくらいの 手間かけて 食べてくれよと 言いたいけれど」

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