〇ふるさと体験塾
町内の子どもたちを集めた子ども教室の実行委員長をしていることもあって、一昨日の土曜日はあいにくの雨の中でしたが、今年度最後の第7回ふるさと体験塾に参加しました。今回は翠小学校周辺の歴史を探訪しようと、双海史談会の中嶋さんと木曽さんを講師に招きガイドをしていただきました。小学生に郷土の歴史を分かりやすく話すのはかなり難しいようで、行く先々説明にはかなり苦労しているようでした。
翠小学校体育館下の駐車場で開会式をした後一行は、傘の花を開かせて正光寺へ向かいました。途中山吹御前を笹の葉船に乗せて運んだという伝説の残る曳坂や山吹神社、源氏という地名などの説明を受けました。残念ながら曳坂を歩くことは出来ませんでしたが、子どもたちは820年前のミステーリーに思いを馳せていました。
急な坂道を登る正光寺は観世音菩薩が本尊で、門前には六道で衆生の苦患を救うという六地蔵菩薩が祭れれていて、みんなで手を合わせて拝みました。上灘村の古い時代にはこの周辺が町の中心だったようで、明治10年頃に測量して完成した現在の地番も上灘川の東向かい側の久保集落から始まっています。そのことを裏付けるように上灘88ヶ所もここから始まっていて、1番から4番と、終わりの87番、88番の石仏が並べられていました。いずれも苔むしていますが、昔の人の信仰の深さに驚きました。
双海町には三島神社が2つあります。本郷亀の森にあるのは旧高岸村、三島にあるのは旧上灘村の神社です。昔はいくつも神社があったそうですが国策によって合祀されたそうで、境内には色々な神様が祭られていました。また三島神社の境外には33番から36番までの石仏が祭られていて、土州の記載があるようです。
三島地区の入り組んだ道を通って岡地区へ向かいました。ここには背後に聳える烏帽子嶽城主稲葉帯刀を祈念した祠がありました。長宗我部元親侵攻の折、五月幟と敵の旗指物と間違えて不覚を取ったため、今でも岡地区では五月幟を立てない風習があるのだそうです。
畑の隅には稲葉帯刀にまつわる五輪塔が沢山祀られていました。五輪塔は地・水・火・風・空の五つを表していますが、今から400年以上も前の歴史が道端に点在していて興味をそそりました。
近くには東峰おきよの池を造った功績者であるおきよさんのお墓がありました。大洲藩主の乳母をしていたおきよさんは退任時、藩主から温厚忠実さを賞され、その褒美として渇水に難儀している村人を救うために用水池を造って欲しいと懇願し出来たのです。今もその池は地域の田畑を潤しているのです。
最後は地蔵寺です。本尊は延命地蔵菩薩です。このお寺は2度も大火に見舞われ現在の地に移ったようです。この寺の境内には39番から46番まで8体の石仏が祀られています。昔は春と秋の2回巡拝することで、祖国88ヶ所寺巡拝と同じご利益を願ったのでしょう。
お寺ではお茶とお菓子のお接待があって、子どもたちは大喜びでした。歴史探訪を終えて再び翠小学校まで歩いて帰り昼前に閉講解散しましたが、身近な歴史に触れることで郷土に対する愛着が深まって欲しいと願っています。
「畑中を 傘差し子ども 賑やかに 歴史散策 つくしビックリ」
「六地蔵 頭に赤い 帽子受け 子どもの祈り 聞くが如くに」
「この五輪 地水火風 それから空と 説明するも 理解しきれず」
「ひっそりと 雨に濡れたる 仏たち 椿万両 あでやか赤く」