○梅一輪一輪ほどの温かさ
庭の隅にある白梅の花が知らぬ間に咲き始め芳しい香りを漂わせています。今年はことの他寒く、90歳になる親父は「寒い寒い」とぼやきつつも、この冬は風邪も引かず何とかこの冬を乗り切れそうですが安心は禁物で、温かくなり始めた頃が油断大敵と、今朝も隠居へ行って注意しながら世間話に花を咲かせました。
昨日は下灘で恒例の剣道大会があったようで、その大会に招かれた方が次々わが家を訪れ、親父に会いに来てくれたらしく、いつになくご機嫌でした。歳をとると私たちにとっては何でもない人との出会いが段々少なくなってくるものなので、人に会うことさえ大きな喜びのようでした。そう思いつつも最近は私の日程が詰まっていて、同じ敷地内に住みながら親父と3日も4日も会わない日があるのです。仕方のないことですが妻と二人でその事に気をつけ声をかけ話をするよう心がけて日々を暮らしています。
昨日は妻が風邪気味だというので、今朝早く起きて畑の隅の果樹園に出かけカブスを5個ほどちぎってきました。このカブスは他所の地域ではダイダイといっていますが、こちらでダイダイは夏みかんのことで、カブスは食酢をとる柑橘なのです。わが家ではこのカブスを酢漬けやお寿司を作る時に絞って使います。特に風邪気味の時はこの酢を鍋に絞り込み砂糖を入れて少し水で薄めて熱く沸かします。それをフーフーいいながら飲んで寝ると汗が出て風邪の症状が治まるのです。
このカブスの木は一本ながら沢山の実をつけ、正月の松飾用に使ったりして重宝しているのです。人間牧場近くの廃園になった果樹園には大きなカブスの木があったのですが、訪ねる暇もなく、多分枯れているのだろうと気になっています。
今朝は私の取ってきたカブスを使って妻がカブス湯を作っています。台所からその美味しそうな匂いがプーンと漂ってきています。このカブス湯を飲んで、早く風邪を治して欲しいと思っています。
さてわが家では今日から妻が友人と一泊二日の小旅行に出かけます。小旅行といっても近くの道後温泉に午後から出かけるだけなのですが、数日前から楽しみなのか少しテンションが上がっているようです。無理もありません。一年中働きたまの日曜日には子どもたちが孫を連れてやって来るし、年老いた親父の面倒も見なければなりません。ましてや頼りになるはずの夫であるはずの私は、相変わらず外に出て待った役に立たない駄目亭主なのですから・・・・。
今朝は早く起きて家を出るための準備をしているようです。女が家を出るには食事の準備が何よりで、いつもお定まりのコースメニューなのでしょうが、おでんとカレーが準備され、親父の元へも運ばれるのです。あいにく私も今日は隣町で開かれるシンポジウムにパネラーとして出席する予定で、懇親会も予定されていることから遅くなるため、留守は親父一人になります。
今晩は多分道後の温泉に4人の友人とまるでトドの群れのように浸かり積もる話をすることでしょうが、せいぜい楽しんできてください。
「梅一輪 咲いて間近な 春を知る 足音更に 大きくなりて」
「訪ね来る ただそれだけが 楽しくて 親父の弾む 話聞き入る」
「小旅行 楽しみながら 準備する おでんにカレー 妻の定番」
「風邪などは すっかり忘れ 小旅行 少し濃い目の 化粧施し」