sin-1さんの日記

○旅先で拾った話題①

 私の旅は安上がりをモットーに様々な工夫を凝らしています。工夫といっても別に工夫するのではなく安上がりなルートを探すだけなのです。急ぎの旅でもなかって上手く夜行高速バスで先方の日程に連絡できそうな先日、東京往復夜行高速バスに乗ろうと松山インター口でバスを待っていると、JR便夜行バスに乗るという中年の女性に出会いました。バスに乗るまでの待ち時間のほんの少しの会話だったのですが、その女性は夜行バスと電車を乗り継いで成田まで行くのだそうでした。「海外旅行でも?」と尋ねると、「いえいえ、実は韓国俳優の××さんに会いに行くのです」というのです。何でも「プロモーション映画を見ていると××さんが明日の飛行機で成田に着くというニュースが飛び込んできたので、いても立ってもいられず一目だけでも見に行こうと仲間を誘い2人で行くのです。会えるといいのですが・・・」と不安そうな中にも目を輝かせて言うのです。この女性は見たところ四十歳半ば、中学生の娘と旦那もいるのだというのです。「ご主人や娘さんは××さんに会いに行くといったらどう言いましたか」と訪ねると、「あきれ返っていました」とあっけらかんで笑い、「私馬鹿でしょう」と私に同調を求めてきましたが、「いえいえ、やりたいことをやるのが一番ですからねえ」と相槌を打ったものの、心の中では「おっしゃるとおりあなたは馬鹿です」といってやりたいような気持ちになりました。私の妻は多分そんな馬鹿な行動はしないと思いますが、もし私の妻がこんな話を切り出すともう離婚問題に発展するかもしれないとあきれ返りました。

 明くる日私は講演の仕事を済ませ、同じバスに乗るべく新宿西口19時10分発のバスを待ちました。何と驚いたことにその女性と友人の二人が同じバスに乗り込もうとしているではありませんか。女性は「ご縁が深いですね」とあいさつをするので、「如何でしたか。××さんには会えましたか」と尋ねると、「何せ凄い人で、ほんの一瞬顔をチラって感じで通り過ぎました。でも会えて満足です」と目と顔をうっとりさせながら幸せそうに言うのです。「見てください彼の写真です。素敵でしょう」と、10枚ほどの××さんのブロマイドを見せながら、まるでわが孫の写真のように自慢するのです。その夜のバスの中は何時になく二人のひそひそ話しが耳について中々眠れませんでした。

 あくる朝眠れない夜を過ごしたお二人も私と同じように松山インター口で下車しましたが、何とその奥さんを迎えに来たご主人とばったり、とても優しそうな人でした。「どうだった」と聞くあたり、このご主人も相当いかれているなとも感じつつこの家庭の有り様や中学二年の子どもとの関係をいろいろ考えて見ました。

 中学2年生の娘が××さんを追っかけて成田まで行くというのは、若いのですから一応納得できる話です。でも子持ちの主婦がいくら韓流ブームだからといったって、××さんを追っかけて成田まで行くというのは、余りにも幼稚で自制心がないとしかいいようがありません。ここら辺にも今の家庭教育の貧困さが隠されているように思うのです。何か問題があったらやれ学校の責任だと騒ぐのに、自分の行動はまるで成長しない動物のようです。こんな母親に育てられた子どもは一体どんな母親になるのでしょう。韓国人俳優が来日する度に群がる中年女性の姿をテレビで見る度に「あれは都会の出来事だ」と思っていたのに、現実に愛媛の松山での出来事だっただけに少々ショックでした。××さんの追っかけに投資したお金は多分安く見積もっても片手5万円くらいは要ったでしょうが、家庭主婦ののやりくりにとってこの金額は決して安い金額ではありますまいにと、この女性の財布が気になった出来事でした。

  「娘なら 分るがおばちゃん 成田まで 追っかけ出来る 日本は平和」

  「夜行バス 乗り継ぎ×× 追いかける もっとやること おありでしょうに」

  「この人の 旦那の顔が 見てみたい 思う目先に しょぼくれ旦那」

  「俺の妻 ××見たいと 成田行く そんなら離婚だ 俺の家庭は」


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