shin-1さんの日記

○燃え尽きる孫の一日

 嫁いでいる娘に二子の出産の兆しが見えたのは夏の盛りの頃でした。助産婦をしている娘ゆえの知識過多もあって何かと心配の種が多いのか、つわりが激しいのか周りから見た感じの妊娠症状は少しオーバーに表現すれば病気のような感じでした。助産婦としてそんな患者さんを毎日見ているのだから、それなりの対処法もあるだろうにと親の目から見れば不足気味の状態でした。

松山という近所に住むよしみで、また娘夫婦の子育ての手助けをしてやろうとする親心のよしみで、孫の世話というやっかいな仕事を分担しながら日々の暮しを組み立てている今日この頃です。

 昨日は娘の仕事が遅くなるので、松山の幼稚園へ迎えに行かなければなりません。迎えといっても目と鼻の先の幼稚園ではなく片道25キロですから車が混雑する松山のラッシュの時間帯ですから車で小一時間かかります。昨日は午前中大洲青少年交流の家、午後は伊予厚生年金センターでそれぞれ会議が入っていて忙しい日程を終えて幼稚園に到着したのは午後4時過ぎでした。幼稚園は3時までに殆どの子どもが迎えに来た親や祖父母と共に帰るので、働く親のために居残り保育が行われているのです。孫も居残りの一人で、先生がひとりついているのですが、集団保育というよりは思い思いに目の届く範囲で遊ばせるような雰囲気なのです。

 孫は最初居残りを寂しく感じていたようで、幼稚園に連れて行く度に「今日は居残り?」なんて言葉を私に言って確認し自分で自分を納得させているようでした。また迎えに来るパターンが2つあって、母親が迎えに来る日は松山のわが家、おじいちゃんが迎えに来る日は双海町の実家と決めているようなのです。多分その様子を見ればみんなと同じ3時に母親に迎えに来て欲しいような寂しさが見え見えのようです。

 午後4時過ぎ私が幼稚園に到着すると孫は他の数人とジャングルジムのに登って遊んでいました。先生が「おじいちゃんが迎えに来たよ」と声を掛けると、大きな手を振って嬉しそうに降りてきました。まあその姿を見たとき「凄い」と思いました。朝出る時の姿を知っていますから、顔の汚れ、衣服の汚れは尋常ではないほど泥と汗によって「泥んこ」という表現がピッタリの姿なのです。娘からくもんという家の近所の小さな塾に連れて行くよう頼まれていたので、車を道後のマンションに止めて歩いて孫の手を引き出掛けました。その頃には孫の姿が何となく元気がなくうつろな感じもしましたが、約30分のお任せをして5時に迎えに来るよう言われたので、そこら辺の神社仏閣辺りを散策散歩し、万歩計が約5000歩を見計らって再びくもん塾に迎えに行ったのです。そこへ行って驚いたのは孫の姿でした。くもん塾の玄関でスヤスヤと眠っているのです。塾の先生が気遣って起して学びを促すのですが完全にアウトなのです。私は孫を抱きかかえ車に戻り助手座席に座らせてシートベルトをして車を走らせました。孫は少し正気に戻ったのか、孫のために用意していたおやつのクッキーを食べながら眠気から冷めたのです。

 「燃え尽きる」という表現がピッタリかどうかは分りませんが、幼稚園で泥んこになって遊んだ姿やくもん塾ですやすや眠る孫の姿を見てそう思いました。普通この姿を見たとき遊び疲れた姿やくもん塾で人はばかることもなく眠る姿は格好悪い姿です。でも私の目には孫は孫なりに幼稚園の遊びを目一杯生きてると感じました。「燃え尽きる」姿は素晴らしいとも思いました。

 孫は「何でこんなによく寝るのだろう」と思うほどよく寝ます。「寝る子は育つ」という諺が本当ならば、この孫は正真正銘の諺の落し子なのです。最近夜更かしで眠い子が問題になりますが、孫は確実に9時には寝ます。そして朝も7時まで夜は一度も目を覚ますこともなく眠ります。その睡眠は10時間を越えるのです。

 建国記念の日である11月23日に生まれた孫はあと一週間で4歳の誕生日を迎えます。「僕はお兄ちゃんになる」とか、「僕は4歳になる」とか

「僕」という言葉もすっかり板についてきた成長著しい孫の姿は朝の姿、夕方は燃え尽きたマッチ棒のような汚れた姿、まあこの落差が子どもの本当の姿なのでしょう。子どもは子どもらしくあって欲しいと願っています。

 「じいちゃーん」、向こうの居間で私を呼ぶ目覚めの孫の声が聞こえます。いい朝です。今朝は伊予市の病院へ親父を同乗させて病院まで送り、孫を送った後診療の終わった親父を迎えに立ち寄り、その後は宇和島で子育て講演会に向かいます。今日も忙しい一日になりそうです。

  「孫眠る 塾の玄関 驚いた 燃え尽きぐったり これでいいのだ」

  「寝太郎と あだ名付けたい 孫姿 寝る子育つか これでいいのだ」

  「孫四つ あれから俺も 歳四つ 同じ四つでも 俺はマイナス」

  「孫言葉 時々驚く ことがある どこで習うか 意味さえ分らず」



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